公務員が自己破産をしたらどうなる?職場にばれる?子供への影響は?

国家公務員をはじめ地方公務員の方は、自己破産をしたらクビ(懲戒免職)になるのでは、と心配で自己破産を利用することができない人は多いのではないのでしょうか。

ですが、その心配はご無用で、自己破産が原因でクビになるということはありません。自己破産手続きをすると、一部の仕事や資格を利用する仕事には就けなくなります(弁護士・警備員・保険外交員)。ですが、国家公務員や地方公務員では、破産は欠格事由とはならないのです。繰り返しになりますが、公務員は自己破産を理由に解雇や懲戒されることはありません。

自己破産によって公務員が懲戒・免職になることはない

破産手続きをおこなうことは、基本的に公務員の欠格事由にはなりません。

たとえば、役所の市町村職員、学校教師、消防署、警察署、自衛官などの地方公務員、総合職、一般職などの国家公務員を含めて、全員、欠格事由とはなりません。

破産により、どの職業が従事することができなくなるのかは、破産法という法律により厳格に決まっています。法律や条例に存在しない理由を根拠にして、解雇や懲戒にするということはできません。そのため、自己破産をしたことが務めている役所や学校にばれたとしても、自己破産をしたという事実をもとにしてクビにするということは不可能です。

ただし、すべての公務員はクビにならないかといいますと、実はそうでもなくて、国家公務員の特別職などの中には、一部に破産が欠格事由となるものが含まれています。

  • 人事官
  • 公安委員会委員
  • 公正取引委員

これなどは職を辞しなければなりません。

ただ、これは例外中の例外になり、基本的に大多数の公務員にとっては関係のないことでしょう。たとえば、人事官に至っては3人しかいません。

職場にばれて居心地が悪くなったり、出世に影響するのか?

自己破産をしたことが職場でばれたことにより、職場にいづらくなったり、あるいは出世に響いてしまったり、このような関節的な要因になる可能性は、公務員の種類によってはあると思われます。ただ、もちろんこれは本人の気持ち次第の話になります。

では、そもそも自己破産をしたことが勤務先にばれてしまう可能性はあるのでしょうか。

民間企業の場合、基本的にはありません。自己破産手続きをしますと、自己破産手続き開始決定時や免責決定時に官報に名前や住所などの個人情報が掲載されます。銀行や金融機関などの一部の業種を除き、普通、官報を閲覧することはまずありません。

そして、官報以外の方法で従業員が破産した事実を知ることはありません。この点については、公務員の方も同じであると考えて問題はありません。人事評価などにおいて官報の破産者の掲載情報を収取してチェックするというのは考えにくくなります。
しかし、公務員の場合は、借入先(債権者)の中に、「共済組合」が混ざっていることが多くなります。この点は特殊であり、民間企業とは異なります。

共済組合から借入があると職場に自己破産がばれてしまうのか?

一般的に共済組合の貸付は、金利が非常に低く、貸金業者とは比較にはならないほど、低金利です。公務員の特権のような仕組みの1つですが、借金をしている方の中には共済組合からの借金がある方も多いのではないのでしょうか。

共済組合からの借り入れとは、共済組合は公務員を対象にした社会保険組合です。大枠では、国家公務員共済組合と地方公務員共済組合があります。

地方公務員共済組合の傘下に総務省共済組合、防衛省共済組合、地方職員共済組合、公立学校共済組合、警察共済組合、市町村共済組合などがあります。

共済組合には貸付制度もあり、

  • 普通貸付
  • 住宅貸付
  • 出産貸付
  • 入学貸付

など、低金利・無利息の借入が可能です。

共済組合の借金は、基本的には給与や退職金から回収することを前提として貸付がされるので、勤続年数や月額給与に応じて、自動的に貸してもらえる金額が決まります。

たとえば、自動車を購入したい、と思い、地方職員共済組合の普通貸付を利用する場合、月の給与額が30万円の公務員の方であれば、上限180万円までのお金を低金利で借りることができます。

また、住宅ローンの場合、今は銀行のローンも低金利なので、共済組合の住宅貸付よりも銀行ローンの方が金利は低いケースもあります。それ以外の借入では、共済組合貸付の魅力はかなりの低金利である点です。ただし、共済組合の住宅貸付では、抵当権がつかない、保証人が要らないなどのメリットはあります。

そのため、中には民間の金融機関は貸金業者の借金を共催組合からの借入でまとめている方もいるでしょう。しかし、共済組合貸付を利用して問題になるのが、自己破産をしたときです。

自己破産をすると当然、共済組合へ裁判所から通知がいく

公務員の共済組合の借入は、基本的には給与からの天引きによって返済するといったかたちがとられます。そのため、職場と共催組合とには深い関わりがあります。

公務員の職場の総務や事務の偉いかたが共済組合の支部長などを務めていることもあります。そもそも、給与や会計の担当者などには、給与天引きなので、借入のことは必ずばれてしまいます。

そして、自己破産をすると、すべての借金は「債権者平等の原則」によって個別での返済が禁止されます。担保を取っている債権者以外は、みな、裁判所から配当以外の方法で債権を回収することが許されません。そのため、この給与天引きについてもストップしなければならなくなります。

債権者平等の原則とは、一般の破産債権者はすべて破産手続き上、平等に扱われなければならない、という原則があります。自己破産は法律を持ち出して裁判所が強制的に他人の再建を免責にしてしまうという、債権者の立場からすると理不尽な手続きになります。そのため、あの人の借金は踏み倒すけれど、あの人の借金はちゃんと返済するということは許されません。すべての債権者を破産手続きに含めなければならず、裁判所の配当以外の方法、たとえば、債権者からの個別に弁済を受けることはできません。

このため、弁護士が自己破産を受任した段階で、共済組合に対して、給与の天引きをやめてください、という受任通知を送ります。この段階で共催組合には破産のことがわかります。さらに実際に裁判所によって破産開始決定がなされれば、裁判所からも破産開始通知が届きます。

もちろん、共済組合にばれるからといって職場にもばれるとは限りません。しかし、実際に上記のように共済組合と勤務先とは距離が近いため、むしろ、ばれないとは言いきれないという問題があります。

共済組合だけ、自己破産の対象から外すことは不可能

自己破産には債権者平等の原則があります。そのため、共済組合の借金だけは破産対象から外したい、踏み倒したくない、と思ったとしても、特別扱いすることはできません。

自己破産の申し立てにああっては、裁判所に過去2か月分の給与明細書の提出を求められます。そこに「共済控除」として共済からの借金返済による天引きが載っていますので、裁判所に共済からの借入あるよね?と突っ込まれてしまいます。

故意に一部の債権者だけを破産手続きに含めなかったり、隠したりした場合には、免責不許可になる可能性があります。必ず債権者の一つとして届出なければなりません。

もし共済組合にもばれず、債務整理をしたいのであれば、まずは任意整理の検討をするというのも1つの方法です。任意整理という債務整理を利用すれば、共済組合からの借入だけを除外し、借金を整理することも可能です。ただし、任意整理の場合、大幅な借金の減額効果を期待することができません。

共済組合が給与天引き止めてくれない場合

実務面では、自己破産の申立てをしても、共済組合側がぎりぎりまで給与天引きを止めてくれないケースが多くなります。弁護士と共済組合側とで交渉が難航することもあります。

民間の貸金業者などの債権者の場合、弁護士から受任通知を受け取った時点で、債務者に対する取り立てはストップしてくれます。といいますか、ストップしなければ貸金業法にて罰せられてしまうので、ストップしなければなりません。公務員の共済組合の場合、実際に破産が開始するまでは給与からの天引きをやめてくれないことも多くなります。

国家公務員のクレジットカードを破産対象とする場合

共済組合から借入をしていない方でも、国家公務員共済組合連合会(KKR)と呼ばれるクレジットカードを使っている人は、破産すると職場や共済組合に自己破産したことがばれるのではなかろうか?と心配される人もいるかもしれません。

しかし、国家公務員共済組合連合会のメンバーズカードに関していえば、提携クレジットカードです。そのため、カード発行会社が債権者になります。つまり、共済組合連合会は直接の債権者じゃないのです。カード発行会社は、ブランドがVISAやMasterの場合は、三菱UFJニコスになります。ブランドがJCBの場合、ジェーシービー株式会社です。

この場合、先ほどの共済組合からの直接の貸付とは異なり、弁護士からの介入通知や裁判所からの破産開始決定通知の送り先はあくまでもカード発行会社になります。共済組合ではありません。

そのため、破産が原因でカードの利用ができなくなる可能性は非常に高くなりますが、少なくとも直接、破産債権者として共済組合に自己破産のことがばれる心配はありません。

国家公務員共済組合連合会自体は、カード会社として信用情報機関に加盟しているわけでもありませんので、破産のことは恐らくバレる可能性は低くなります。

公務員が自己破産すると退職金見込額が高額になるのか

公務員の方が自己破産をすると、共済組合以外にもう1つデメリットになるのが退職金の問題です。これについては、公務員のみならず、民間のビジネスマンも同じです。

自己破産をすると、自動車や預貯金、不動産、株などの高額な自己破産で、自由財産の範疇を超えるもの(99万円以上の現金、20万円以上の資産価値のある財産)はすべて破産管財人により処分・売却されます。

そして、このような処分になる財産のことを、破産財団といいます。この破産財団には、将来、給与される退職金についてもこの破産財団とみなされます。そのため、支給見込額のうち一定の割合は、債権者へ配当しなければなりません。

現時点で退職した場合の退職金見込額の8分の1が配当対象

退職金再建は、支払額の4分の3については、そもそも法律上の差押禁止財産になります。破産手続きの処分対象にはなりません。

残りの4分の1相当についても、実際に「近年退職する予定がある」というケース以外では、まだ将来支給されるかどうか不確実な財産ですから、全額(残りの4分の1相当)ではなく半分(2分の1)だけが破産財団となります。

つまり、現時点で退職したと「仮定」する場合の退職金見込額の8分の1相当が破産財団として債権者への配当対象になります。

8分の1といっても、公務員として勤めているかたの場合、一般の中小民間企業に比べると退職金手続き制度がしっかりしているため、勤続年数が長ければ、当然、それなりに退職金が高額になるでしょう。

たとえば、現時点で退職金見込額1000万円の場合、8分の1でも125万円になります。本当に公務員を退職して得た退職金を債権者に配合するわけにはいきませんから、この125万円は現金で積み立てて裁判所に支払うことになります。

破産手続きを検討しているくらいですから、現金で125万円を一括で支出できる方は、少ないと思われます。分割払いで積み立てることもできますが、そうすると債権者に配当がされて破産手続きが終結するまでに、かなりの時間を要することでしょう。免責手続きはさらにそれよりも後ですので免責確定までに半年~1年近くかかる可能性があります。

退職金が高額なら自己破産ではなく、民事再生(個人再生)を

退職金見込額が高額であり、自己破産が難しいという場合には、民事再生(個人再生)手続きの検討という手段もあります。これは、自己破産と同じく裁判所に申し立てることによりおこなわれる借金整理の方法の1つであり、100万円~5分の1程度にまで圧縮し、それを裁判所が認可する3年間の再生計画に基づいて返済をしていくという債務整理の1つです。

個人再生の場合でも、清算価値保障の原則というものがあります。

清算価値保障の原則とは、個人再生をする上での弁済額が、最低でも自己破産をする場合の弁済額より多くなるように設定しなければならない、という民事再生(個人再生)の重要なルールです。たとえばですが、自己破産した場合、住宅や自動車などを換価したうえで、最終的に債権者に配当できる金額が100万円であれば、個人再生をする上での最低弁済額は少なくても100万円以上に設定しなければならないという原則です。

退職金見込額の8分の1相当を債権者に返済しなければならない点は同じです。破産手続きによる配当額よりも民事再生(個人再生)の総支払額が安くなるということはありません。

しかし、民事再生(個人再生)の場合、前述のとおり借金を減額して3年かけて分割払いの返済になります。そのため、月々の支払額の負担は、実は自己破産手続きの積立よりも軽くなるケースもあります。このあたりは、依頼する弁護士に相談して判断してもらったほうが確実でしょう。

自己破産をしたら子供が公務員になることができなくなるのか?

家族の話に話題を移しますが、自己破産をした場合、子供や身内が公務員になるのに影響が出てくるのでしょうか?

結論からいえば、特に心配する必要はありません。まず、そもそも官報に掲載されるのは自己破産をした本人の氏名や住所であり、家族の名前などが掲載されるということは絶対にありません。そのため、子供の公務員試験や公務員への就職に影響があるのかといえば、皆無です。

もちろんですが、親族が公務員へ就職する場合であっても影響することはありません。

自己破産は、あくまでも自己破産をする人物だけの問題ですから、子供や親族など近い関係の存在であっても自分の自己破産と公務員への就職問題は別の話になるのです。

まとめ

公務員が自己破産をしたとしても、懲戒や免職になるということはありません。破産法や公務員の欠格事由に自己破産の項目はありません(わずかですが特別な公務員には例外があります。しかし、大勢の公務員には関係ありません)

そのため、自己破産をしたとしても、公務員をクビになるということはありません。

ただし、共済組合から借入をおこなっている場合、職場にばれる可能性があります。ばれた結果、職場にばれていづらくなる可能性はありますが、あくまでも気の持ちようです。

また、退職金は破産財団に組み込まれてしまいますので、月々、裁判所へお金を収める必要があります。退職金が高額な場合、民事再生(個人再生)の利用も検討しましょう。

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