



というわけで、今回は自己破産をしてから住宅ローンを組むまでにはどのくらいの期間がかかるのかを紹介します。自己破産をしてもすぐに住宅ローンを組む方法もあわせて紹介をしますので、参考にしてください。
目次
自己破産後住宅ローンを組むことができない期間は原則10年

自己破産をすると、信用情報機関に個人信用情報として、自己破産をした事実が登録されます。
自己破産という金融事故を起こした事実が個人信用情報に載ることを、一般的にはブラックリストに載ると表現します。そして、ブラックリストから金融事故情報が抹消されることを喪明けと呼びます。
KSCは官報を収集しており、自己破産をしたという金融事故記録が抹消されるまでに10年間はかかります。
そして、繰り返しになりますが、銀行で住宅ローンを組む場合、銀行はKSCを利用して個人信用情報を照会します。そのため、10年間は銀行で住宅ローンを組むのが難しくなるといえるでしょう。このことから原則として自己破産をしてから10年間は住宅ローンを組むことが不可能といわれています。
ちなみに、10年の起点ですが、免責許可決定の確定の日が10年の起点の日になります。
自己破産後10年未満だけど住宅ローンが組みたい

自己破産をして10年経過していない状態で、自己破産をした者が住宅ローンを組みたいと考えた場合、どのような戦略があるのでしょうか。
- KSCに加盟していない機関で住宅ローンを組む
- KSCの自己破産歴だけで判断しない機関で住宅ローンを組む
この2つの戦略があります。
KSCは都市銀行と地方銀行のほぼすべてが加盟しています。そのため、KSCに加盟していない機関で住宅ローンを組むことを考えた場合、銀行系の住宅ローンを組むことは実質不可能です。
そもそもKSCは銀行系のための信用情報機関であり、銀行なのにKSCに加盟しないことはまずありません。つまり、自己破産後10年未満でKSCに加盟している銀行に住宅ローンの審査を申込んだとしても、審査に通ることはまずありません。
KSCに加盟していない住宅ローン会社なら住宅ローンを組める?
住宅ローン商品を取り扱っているのは、銀行だけではありません。
いわゆるノンバンク系の住宅ローン会社というものがあります。銀行とは関係がなく、住宅ローンのみを取り扱っている金融機関や保険会社なので、ノンバンク系です。
- アルヒ(旧・SBIモーゲージ)
- 日本住宅ローン(MCJ)
- 協同住宅ローン
- 優良住宅ローン
- ファミリーライフ
- 全宅住宅ローン
- トヨタファイナンス
といったものがあります。
ノンバンク系の住宅ローン会社の場合、KSCに加盟していない会社もあります。この場合、信用情報機関のCICやJICCの情報しか収集しませんので、住宅ローン審査に通りやすくなります。
ただし、アルヒや協同住宅ローンなどのノンバンク系住宅ローン会社であってもKSCに加盟しているところが多くなりますので、ノンバンク系の住宅ローン会社でKSCに加盟していない会社の方が少ないと考えるのが普通です。
ノンバンク系の住宅ローン会社であっても多くがKCSに加盟していますので、CICやJICCのみの照会だけの住宅ローン審査を狙い、ノンバンク系の住宅ローン会社へ審査申込みをしても、そこまで利点はありません。
CICやJICCの場合は自己破産の情報は5年で抹消されますのでKSCに加盟している住宅ローン会社よりも早く住宅ローン審査を受けて、住宅ローンを組むことができる可能性はあります。

たとえば、住宅ローン審査に通って住宅ローンを組めたとしても、家計が再び破たんしてしまった場合、任意売却で住宅を手放す可能性が高くなります。
住宅ローンのせいで再び家計が破たんしたので自己破産をしようとしても、自己破産は自己破産後7年経過しないと再度利用できません。つまり、自己破産以前よりも経済的に困窮する可能性があります。
KSCの自己破産歴だけで判断しない機関が提供するフラット35

フラット35は、信用情報がグレーだったり、自己破産歴があったりする方には比較的、勧められるものです。

もちろん、住宅金融支援機構もKSCに加盟をしていますので、自己破産をしているのであれば、その事実は審査の段階でバレてしまいますが、それでも審査に通過する可能性があるということです。
- 頭金の額
- 年収
- 勤務先
- 勤続年数
- 返済比率
- 年齢
- 個人信用情報
- 破産歴
このような属性から総合的に判断をして貸し出して安心な人物なのか否かを判断します。
たとえばですが、自己破産歴があったとしても、しっかりと頭金を用意しており、公務員や有名企業に勤めており安定した収入を得ている。なおかつ年収が高く、勤続年数も長いといった貸し倒れのリスクが少なくなる要因をいくつも持っている場合、自己破産をしていたとしても審査通過の可能性があります。
審査に通った後、提携している金融機関から住宅金融支援機構へ申込みが行くわけです。
仮審査をする金融機関について
ここで問題となるのが仮審査をする金融機関です。窓口の金融機関の審査で落とされてしまっては、フラット35へ申込むことができません。そのため、窓口となる金融機関の選定というのは、フラット35を利用する上では重要になります。
自己破産後に、フラット35の仮審査を通過するためのポイントとしては、銀行系の窓口を避けて、ノンバンク系の窓口から申込むと比較的審査に通りやすくなります。
- ファミリーライフ
- アルヒ株式会社
- 全宅住宅ローン
- 優良住宅ローン
- 一条住宅ローン
- 協同住宅ローン
等があります。
そのほかの住宅ローン会社を探す場合は「フラット35の金融機関のお問い合わせ窓口」にて検索することができます。
自己破産後から住宅ローン通過審査までの道のり

自己破産後に住宅ローンを考えるのならば10年は待つ必要があります。フラット35のような自己破産後10年未満でも通過できる可能性があるものもありますが10年間待つというのが、現実的な住宅ローン審査通過の方法です。
小手先の手段として、引っ越しを3回以上すると個人信用情報がわからなくなるいうものがありますが、この手段は都市伝説の1つであり、引っ越しを3回もするのであれば、引っ越し資金を住宅購入のための資金にするべきです。
また、引っ越しを数回したとしても、官報に掲載された名前や住所というのは消すことは不可能であり、短期間に何回も引っ越しをしている場合、審査の際に過去の住所を追加で提出するようにいわれる可能性があります。

自己破産後5年経過したら行動開始
住宅ローンの審査に受かるためには、自己破産後5年してから行動を開始です。それまでの期間は家計の立て直しを図ることに重点をおきましょう。
なぜ、5年後かといえば、信用情報機関のCICとJICCから自己破産をした記録が抹消されるからです。つまり、喪明けを迎えます。
CICはクレジットカード会社が加盟をしている信用情報機関であり、JICCは消費者金融業者が加盟をしている信用情報機関です。
つまり、5年経過するとクレジットカードを発行することができるようになり、大手消費者金融業者からも融資を受けることができるようになります。

クレジットカードに申し込みをする
携帯電話を購入して、クレジットヒストリーに履歴を残したら、クレジットカードの審査へ申込みをしましょう。
自己破産直後から利用できるデビットカードについては、現金取引と同じ扱いなので、クレジットヒストリー、つまり、信用を貯めることはできないのです。自己破産後にクレジットカードのように利用することができるのデビットカードですが、自己破産後5年経過でクレジットカードを作ることができるようになったのであれば、クレジットカードに切り替えることをおすすめします。
ただ、住宅ローンを組むために、信用を築くことが目的でクレジットカードを作るため、利用枠などを大きくする必要はありません。
クレジットカードを作った後は、少額の買い物で利用をして確実に返済をしていき、クレジットヒストリーを充実させていきましょう。繰返しになりますが、住宅ローンを組むためにクレジットカードを使うのであり、浪費しすぎてまた多重債務にならないように注意してください。
少額のローンを組んでいく
住宅ローンを組む前には、絶対に返済することが可能な少額のローンを組んでいき、クレジットヒストリーを充実させていきましょう。ローンを借りて、ちゃんと期限内に完済するという記録が必要であり、延滞や滞納をしないようにしましょう。
ローンを組まなくても購入することができるものをあえて、3回払いなどのローンで購入するということを何回か繰り返していくことで、クレジットヒストリーはかなり充実します。
住宅ローンの申込み
最後に住宅ローンへ申込みをしていきます。
住宅ローンの申込みを始めるには、自己破産後から10年経過した後にはじめましょう。10年経過すれば、KSCの喪明けを迎えます。KSCの喪明け前に前述したクレジットヒストリーを充実させておけば、自己破産が原因で住宅ローンの審査に落とされる可能性というのは極めて低くなります。
会社に損害を与えた人物として、取引はお断りとなります。好き好んで迷惑をかけた金融機関に住宅ローン審査を申込む方は少ないと思いますが注意をしましょう。
注意点を留意したのち、住宅ローンの審査に申込みをすることで、高い確率で住宅ローンの審査に通過することができるでしょう。もちろん住宅金融支援機構が提供するフラット35の審査についても問題なく融資実行となる可能性が高くなります。
住宅ローンに申込む際に注意すること
もし、万全をきっして住宅ローン審査に申込みをしても、審査に落とされることはあります。審査の内容については、銀行ごとに異なり、審査内容は公表されていません。そのため、どんなにクレジットヒストリーを積み上げていても落とされる可能性はあります。
だからといって複数の銀行へ同時に審査を申込むというのは止めましょう。審査に2回落ちた段階で、半年間は住宅ローン審査を受けるのは止めておきましょう。
自己破産をしてもすぐに住宅ローンを組む方法

配偶者名義で審査を受ける
結婚をしていて、配偶者に収入があり、勤続年数も一定期間以上ある状態ならば、配偶者名義で住宅ローンを組むことが可能です。
自己破産の効力や自己破産の金融事故情報というのは、自己破産をした本人にしか及ばず、家族には全く影響がありません。自分が自己破産をしたとしても、配偶者の個人信用情報には傷がつきません。

親子で借りる
配偶者名義で住宅ローンを組むのと原理は同じですが、親の名義で住宅ローンを組み、返済は子供がするというものです。10年経過してKSCの個人信用情報が喪明けした後、子供がローンを引き継ぐという形です。
まとめ
自己破産をしても10年経てば、KSCという銀行の信用情報機関から個人信用情報が抹消されます。つまり、10年経過すれば、自己破産をしていようが、関係なく住宅ローンを組むことができるのです。
10年以内に住宅ローンを組みたいという場合は、KSCに加盟していない住宅ローン会社や保険会社を探し、信用情報機関のCICやJICCから情報が抹消される5年間は我慢し、住宅ローン審査をするという方法もあります。ただし、住宅ローン会社や保険会社は金利が高いので、自己破産を経験しているのであればあまりおすすめをすることはできません。
また、確実に10年経過した時点で住宅ローンを組みたい場合、クレジットヒストリーという信用情報を積み上げていくのが有効な手段です。クレジットヒストリーが真っ白では、自己破産をはじめとした金融事故を起こした可能性があるとして、住宅ローンの審査が厳しくなります。
時間と手間がかかる手段ではありますが、CICとJICCの喪明け後5年をかけてクレジットヒストリーを築いていくのが、手堅い手法です。
また、配偶者名義、親名義で住宅ローンを組む方法もありますが、親名義の場合、すでに住宅を持っているとセカンドハウス扱いになり、住宅ローン控除や固定資産税の優遇などが受けられませんので注意が必要です。