自己破産で免責が得られない?11の免責不許可事由とはいったいなに?

自己破産の最大の目的とは、免責を受けて借金を帳消しにすることです。免責を受けない限り、借金の帳消しはありません。そして、免責の許可は裁判所が下します。しかし、自己破産をしたら100%免責の許可が下るとは限りません。

その理由として、免責不許可事由というものがあります。免責不許可事由に該当する事由がある場合、免責許可がされないというケースも存在するのです。

ただ90%くらいは免責許可を得ていますので、そこまで心配する必要はないと思うのですが、支払不能状態の人がついつい免責不許可事由に該当している行為をしてしまう可能性があります。

今回は、免責不許可事由について紹介をしていきます。

免責不許可事由

免責不許可事由となる行為については、破産法252条1項各号に規定されています。

つまり、

  • 不当な破産財団価値減少行為(1号)
  • 不当な債務負担行為(2号)
  • 不当な偏頗(へんぱ)行為(3号)
  • 浪費または賭博その他の射幸行為(4号)
  • 詐術による信用取引(5号)
  • 業務帳簿隠匿等の行為(6号)
  • 虚偽の債権者名簿提出行為(7号)
  • 裁判所への説明拒絶・虚偽説明(8号)
  • 管財業務妨害行為(9号)
  • 7年以内の免責取得等(10号)
  • 破産法上の義務違反行為(11号)

合計11の免責不許可事由があります。

不当な破産財団価値減少行為

[破産法第252条第1項第1号]
債権者を害する目的で、破産財団に属し、又は属すべき財産の隠匿、損壊、債権者に不利益な処分その他の破産財団の価値を不当に減少させる行為をしたこと。

つまり、債権者へ損害を与える目的で、本来は債権者への配当に回される財産を隠したり、不利益な処分(不当に安く売却したり)、財産の価値を下げるために壊したり、ただで譲ってしまった場合、不当な破産財団価値減少行為という免責不許可事由に該当します。

財産を減少させる行為にあてはまる場合であっても、それが債権者の利益を害する目的ではない場合は、免責不許可事由にはあたりません。

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よくある行為としては、保険の解約返戻金が高額な保険を隠すケースが多いようです。保険の解約返戻金も立派な財産なので換金処分の対象です。
また、たとえば、財産を隠すために破産をする直前に財産の名義を配偶者のものにする、財産をすべて安価な価格で売却してお金を作るなんてことが、この免責不許可事由に該当します。

不当な債務負担行為

[破産法252条第1項第2号]
破産手続の開始を遅延させる目的で、著しく不利益な条件で債務を負担し、又は信用取引により商品を買い入れてこれを著しく不利益な条件で処分したこと。

これは自己破産の手続きを遅らせることを目的として、高利の借金をしたり、追加で借金をしたり、クレジットカードで購入した物品を安く現金化したりする行為は、不当な債務負担行為という免責不許可事由に該当し、自己破産をしても免責されない可能性が高くなります。

よくあるケースとしては、お金をどこも貸してくれないので高利の闇金に手を出してお金を借りたり、新幹線の回数券をクレジットカードで購入して、チケット屋で現金化するなどが見受けられます。

concierge
ただし、破産手続きを遅らせるという目的がない場合、免責不許可事由にはなりません。

闇金は存在自体が違法なので、借金の支払いに困ったとしても利用するべきではありません。

不当な偏頗(へんぱ)行為

[破産法第252条第1号第3号]
特定の債権者に対する債務について、当該債権者に特別の利益を与える目的又は他の債権者を害する目的で、担保の供与又は債務の消滅に関する行為であって、債務者の義務に属せず、又はその方法若しくは時期が債務者の義務に属しないものをしたこと。

自己破産をする前に、特定の債権者のみに優先的に借金を返済した場合、または特定の債権者へ損害を与えようと考えて特定の債権者へ、返済の義務やその時に返済する必要もないのにわざと返済をしたり、担保を設定したりする行為は、不当な偏頗(へんぱ)行為(非義務的偏頗行為)として免責不許可事由になります。

たとえば、お世話になった人や家族、友人、勤務先などの借金を優先的に返済した場合でも、不当な偏頗(へんぱ)行為になります。

ただし、特定の債権者に利益を与えるために、特定の債権者に害を与える目的でしたわけではない場合は、免責不許可事由には該当しません。

ついついやってしまいがちですが、自己破産をする場合、債権者は平等に扱う必要があり、特定の債権者のみを優遇してはいけないのです。親族であっても、友人であってもです。

浪費または賭博その他の射幸行為

[破産法第252条第1号第4号]
浪費又は賭博その他の射幸行為をしたことによって著しく財産を減少させ、又は過大な債務を負担したこと。

必要最小限の生活とは関係ない無駄遣いをしたことに、またはギャンブルなどの射幸性の高い行為をおこない、いちじるしく借金を増やしてしまう行為は、浪費または賭博その他の射幸行為として免責不許可事由に該当します。

給料からみても身の丈に合わないブランド品を購入したり、高頻度で海外旅行へ行った、高級キャバクラへ入りびたるなどが典型的な浪費です。

そして、ギャンブルとしてはパチンコ・パチスロ、競売に多額なお金をかけて負けた場合が自己破産をする人の中では多くなります。

射幸行為ですが、株取引やFX取引により多額の損失を出してしまった、というのが当たります。

concierge
免責不許可事由の中ではもっとも多いものではないのでしょうか。
ただ、単にギャンブルをしても、ギャンブルや浪費が借金の原因になっていないのであれば、免責不許可事由にはなりません。

詐術による信用取引

[破産法第252条第1項第5号]
破産手続開始の申立てがあった日の一年前の日から破産手続開始の決定があった日までの間に、破産手続開始の原因となる事実があることを知りながら、当該事実がないと信じさせるため、詐術を用いて信用取引により財産を取得したこと。

これは自己破産の申立ての日から1年前の日までさかのぼり、破産手続開始決定日の間までに、すでに支払い不能状態、つまり、どんなことをしても借金を完済することができない状態であることを自覚しつつ、相手方には自分は支払能力があると嘘をつき、相手を騙してローンなどを組んで物を購入する行為は、詐術による信用取引として免責不許可事由になります。

たとえばですが、借金はしていない、もしくは少額しかしていないなどと嘘をついたり、給料やボーナスの額を偽って、ローンで物品を購入してしまった場合が、詐術による信用取引に該当します。

ちなみに、相手に聞かれなかったので、支払不能状態であることを言わずお金などを借りた場合は詐術を用いていませんので、免責不許可事由にはなりません。

業務帳簿隠匿等の行為

[破産法第252条第1項第6号]
業務及び財産の状況に関する帳簿、書類その他の物件を隠滅し、偽造し、又は変造したこと。

業務や財産状況になどについての帳簿類や物件を隠したり、偽造・変造すると業務帳簿隠匿等の行為という免責不許可事由になります。

業務帳簿隠匿等の行為をおこなった場合、免責不許可事由のみならず、文書偽造罪として刑事処分を受ける可能性があります。
concierge
給与所得者にはそこまで関係ある免責不許可事由ではないでしょう。

故意に隠匿等を行っていることが前提になりますので、単純にうっかりして帳簿などをつけ忘れた場合は、免責不許可事由になりません。

虚偽の債権者名簿提出行為

[破産法第252条1項7号]
虚偽の債権者名簿(第二百四十八条第五項の規定により債権者名簿とみなされる債権者一覧表を含む。次条第一項第六号において同じ。)を提出したこと。

特定の債権者を名簿や一覧に載せ忘れたというわけではなく、債権者へ損害や迷惑をかけてやろうと意図的に、特定の債権者だけ名簿に載せなかったり、架空の債権者をでっちあげて名簿に載せたりして、嘘の名簿を裁判所へ提出する行為です。

つまり、虚偽の債権者名簿を提出したということで、虚偽の債権者名簿提出行為という免責不許可事由になります。

よくあるものとしては、親兄弟、親族、友人、勤務先を債権者名簿から意図的に外すというものがあります。債権者名簿から名前を消しておけば、自己破産をしたとしても、親兄弟、親族、友人、知人、勤務先からの借金は帳消しになりませんので、返済をすることができるわけです。

しかし、重大な背信行為になりますので、心情的には理解できますがやらないでおきましょう。

つい、うっかり載せ忘れた場合は、免責不許可事由にはなりません。

裁判所への説明拒絶・虚偽説明

[破産法第252条1項8号]
破産手続において裁判所が行う調査において、説明を拒み、又は虚偽の説明をしたこと。

裁判所が調査、これは債務者のもとにどれだけ債権者へ配当する財産があるのか、その財産を配当するべき債権者はだれなのか、その債権額はいくらなのか裁判所は調査します。

裁判所が調査を行おうとする際に、説明を求められたときに、説明するのを拒絶したり、嘘の説明をしたりする行為は背信行為となり、免責不許可事由になります。

自己破産で免責許可を出すのは裁判所であり、裁判所の調査に非協力的な背信行為をしてすると心象が悪くなります。裁判所への説明拒絶・虚偽説明は免責不許可になる可能性がもっとも高い免責不許可事由です。

管財業務妨害行為

[破産法第252条1項9号]
不正の手段により、破産管財人、保全管理人、破産管財人代理又は保全管理人代理の職務を妨害したこと。

破産管財人が職務をおこなおうとしたときに、法令に反する方法、または正当ではない方法で、破産管財人の職務を妨害しようとする場合、管財業務妨害行為として免責不許可事由になります。

たとえば、暴力をふるったり、脅したりして職務を妨害するのは当然ですが、不正の手段としては、法律上の手続きにのっとっていない方法であれば該当します。

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破産管財人などの指示や指導に従わない場合などであっても、管財業務妨害行為になる可能性があります。破産管財人には素直に従っておいて損はないでしょう。

7年以内の免責取得等

[破産法第252条1項10号]
次のイからハまでに掲げる事由のいずれかがある場合において、それぞれイからハまでに定める日から七年以内に免責許可の申立てがあったこと。

  • イ:免責許可の決定が確定したこと 当該免責許可の決定の確定の日
  • ロ:民事再生法 (平成十一年法律第二百二十五号)第二百三十九条第一項 に規定する給与所得者等再生における再生計画が遂行されたこと 当該再生計画認可の決定の確定の日
  • ハ:民事再生法第二百三十五条第一項 (同法第二百四十四条 において準用する場合を含む。)に規定する免責の決定が確定したこと 当該免責の決定に係る再生計画認可の決定の確定の日

7年以内の免責取得と呼ばれるものであり、過去7年以内に自己破産の申請をして、免責許可やそれに匹敵する強力な債務整理をおこない法律上の保護を得た場合、7年以内に再度自己破産をすることができませんよ、という免責不許可事由です。

免責許可確定日から、次の免責許可の申立日までの期間は7年間空ける必要があります。

一度、免責許可決定のような救済処置を受けたのにもかかわらず、経済的に更生をはからずに、再度免責許可をあたえるというのは好ましくないので、政策的に免責不許可事由となります。

ただし、絶対に免責許可が下らないかといえば、そのようなことはなく、裁量免責にて免責許可を受けることができる可能性もあります。

破産法上の義務違反行為

[破産法第252条第1項第11号]
第四十条第一項第一号、第四十一条又は第二百五十条第二項に規定する義務その他この法律に定める義務に違反したこと。

債務者は破産について事情などを説明する義務、重要な財産を明らかにする義務、そして、免責不許可自由や裁量免責の判断に必要となる事情を説明する義務があります。この義務に違反する行為というのは、破産法上の義務違反行為として免責不許可事由に該当するのです。

簡単に言ってしまえば、自己破産の手続きに非協力的であると免責不許可事由に該当しますよということです。

破産法第40条第1項第1号について

[破産法第40条第1項」(破産者等の説明義務)
次に掲げる者は、破産管財人若しくは第百四十四条第二項に規定する債権者委員会の請求又は債権者集会の決議に基づく請求があったときは、破産に関し必要な説明をしなければならない。ただし、第五号に掲げる者については、裁判所の許可がある場合に限る。

  • 一:破産者

これは、破産者等の説明義務と呼ばれており、破産者は破産管財人などに対して破産に関する必要な説明をしなければなりません。

たとえば、破産管財人からなぜ破産にするに至ったのか、財産の状況についてなどの説明を求められた場合、破産者は回答する義務があります。これに答えないのであれば、免責不許可となります。

破産法第41条

[破産法第41条](破産者の重要財産開示義務)
破産者は、破産手続開始の決定後遅滞なく、その所有する不動産、現金、有価証券、預貯金その他裁判所が指定する財産の内容を記載した書面を裁判所に提出しなければならない。

破産者は、破産法第41条により、所有している不動産・現金・有価証券・預貯金など、裁判所が指定する財産の内容を記載した書面を裁判所へ提出しなければなりません。また、重要財産を開示する義務を負っています。これを破産者の重要財産開示義務と言います。

破産法第250条2項

[破産法第250条2項](免責についての調査及び報告)
破産者は、前項に規定する事項について裁判所が行う調査又は同項の規定により破産管財人が行う調査に協力しなければならない。

破産者は、裁判所または破産管財人による免責に関する調査に協力をしなければならい義務があると、破産法で規定されています。これを「破産者の免責調査協力義務」と言います。

つまり、破産者は免責調査に協力をしなければ、免責不許可事由となってしまうのです。

裁量免責について

免責不許可事由に該当する場合、裁判所の裁量により、免責が許可されるケースがあります。収入や財産がなく、借金の返済が不可能であると理解してもらえれば、免責不許可事由に該当していても裁量免責を得ることができる可能性が高くなります。

concierge
ギャンブルや浪費が原因で自己破産をしたとしても、弁護士などを雇っておけば、よほどのケースがない限り、裁量免責になることが多いのが実際の運用となります。

まとめ

自己破産は免責許可を得なければ、借金の帳消しはありません。

しかし、

  • 不当な破産財団価値減少行為(1号)
  • 不当な債務負担行為(2号)
  • 不当な偏頗(へんぱ)行為(3号)
  • 浪費または賭博その他の射幸行為(4号)
  • 詐術による信用取引(5号)
  • 業務帳簿隠匿等の行為(6号)
  • 虚偽の債権者名簿提出行為(7号)
  • 裁判所への説明拒絶・虚偽説明(8号)
  • 管財業務妨害行為(9号)
  • 7年以内の免責取得等(10号)
  • 破産法上の義務違反行為(11号)

合計11の免責不許可事由があります。

特に、重たいのは「裁判所への説明拒絶・虚偽説明」です。これをしてしまうと高い確率で免責不許可となってしまいます。

その他の免責不許可事由の場合、裁量免責というものがあり、裁判所の裁量によって、免責不許可事由に該当していても、免責許可を得ることができます。

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