自己破産をすると会社にばれる? 会社にばれたらクビにされてしまうの? 自己破産が仕事に与える影響解説

[voice icon=”/wp-content/uploads/man_tag.png” name=”man” type=”r”]自己破産をしたら会社にばれてしまうのでしょうか?[/voice] [voice icon=”/wp-content/uploads/concierge_tag.png” name=”concierge” type=”l”]自己破産をしても会社に通知が行くわけではないので、原則ばれません[/voice] [voice icon=”/wp-content/uploads/man_tag.png” name=”man” type=”r”]もし、自己破産をしたことがばれたら解雇されますか?[/voice] [voice icon=”/wp-content/uploads/concierge_tag.png” name=”concierge” type=”l”]サラリーマンであれば、会社にばれたとしてもクビにされることはありません。された場合は、不当解雇に該当します。[/voice]

今回は自己破産をした場合、仕事にどのような影響があるのかを紹介をします。これから自己破産を考えているけれど、会社をクビにされてしまうのではないのかと考える方は、ぜひ役に立ててください。

自己破産をしても会社にはばれない

自己破産をしても、裁判所から自己破産をしたという旨の通知が会社へ行くことはありません。そのため、自己破産をしても会社にばれるということは、原則はありません。

自己破産の手続きを弁護士や司法書士へ依頼した後、もしくは自己破産の申立てを裁判所にした後であれば、受任通知が債権者のもとへ送付されます。そのため、債権者は、自己破産を検討している債務者の給与を、会社に連絡をして差し押さえる手続きをとることができなくなります。
[aside type=”warning”] つまり、裁判所から自己破産をした旨の通知は会社に行きませんが、債権者からの給与差押えの連絡によりばれてしまう可能性があります。特に判決をとられていますと、会社にばれてしまう可能性が非常に高くなります。[/aside]

そのような場合は、弁護士や司法書士に依頼をして早々に受任通知を送った方がいいでしょう。そうなってしまえば、債権者は取立をすることができなくなり、会社に自己破産をしたことがばれる可能性は低くなります。

会社に自己破産がばれてしまったらクビにされてしまうのか?

自己破産をしたことが会社にばれてしまったら、クビにされてしまうのではないのかと考えてしまい、不安になってしまう方もいると思います。

[voice icon=”/wp-content/uploads/concierge_tag.png” name=”concierge” type=”l”]結論から言ってしまえば、自己破産を理由にして懲戒免職処分や解雇にすることは、労働基準法により禁止されている不当解雇に該当します。[/voice]

労働基準法18条の2にて

「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その倫理を濫用したものとして、無効とする」

としています。

つまり、会社側に解雇するだけの合理的な理由がなければ解雇することはできないということです。

自己破産については、法律で定められた権利の1つです。そのため、自己破産をしたとしても、解雇とする合理的な理由には該当しません。

つまり、企業が自己破産を理由に解雇を迫ることは不可能です。

[aside] たとえ、就業規則に「破産をした者は解雇」と記載されていたとしても、就業規則よりも労働基準法のほうが効力は上なので、無効にすることが可能です。[/aside]

ただし、一部の職業では「破産者」は就くことができません。

たとえば、警備会社の警備員です。警備員は破産者が就くことのできない職種になり、自己破産をして破産者になると警備員になれる資格が停止します。

[aside type=”boader”] このような場合、警備会社は、

  • 一度退職扱いになる
  • 別の職種に移動する

この2通りの対応をとります。[/aside]

一般的には一度退職扱いとなります。その後、免責決定により復権を果たすことで破産者ではなくなります。そうすれば、以前と同じように働くことができます。ただし、免責許可が下りなかった場合、任意整理で借金を返済していくか、10年間は破産者のままなので、復職することが難しくなるでしょう。

また、退職扱いにすることなく、警備員以外の事務員などの仕事をさせるということもあります。

[voice icon=”/wp-content/uploads/concierge_tag.png” name=”concierge” type=”l”]現実問題として自己破産が会社にばれてしまう可能性は低いのですが、ばれてしまうと、職場にいづらくなります。また、警備員など自己破産をした事実を伝える必要がありますので、企業が解雇することはできないとしても、会社にとどまり続けるのは難しいといえるでしょう。[/voice]

会社からお金を借りて自己破産をした場合

[aside type=”warning”]ただし、会社からお金を借りている状態で自己破産をしてしまうと、クビにされる可能性がありますので注意をしましょう。[/aside]

制限を受ける職業について

公法上の資格制限

破産者で復権を得ていない人は、下記の職業に就くことはできません。

  • 弁護士
  • 弁理士
  • 公認会計士
  • 税理士
  • 公証人
  • 司法書士
  • 行政書士
  • 土地家屋調査士
  • 不動産鑑定士
  • 通関士
  • 宅地建物取引士

ここで挙げた職業以外にも制限を受けるものがありますので注意をしてください。

資格がはく奪されるということはなく、復権をはたすことで、再び資格を利用して仕事を行うことができます。

また、宅地建物取引士が自己破産をした場合、30日以内に自己申告をしなければなりません。宅地建物取引士のように届け出義務のある士業も存在しますので、注意をしましょう。

公務員の委員長や委員

破産者の状態では下記の職種に就くことはできません。

  • 公証人
  • 人事院の人事官
  • 国家公安委員会委員
  • 都道府県公安委員会委員
  • 検察審査員
  • 公正取引委員会委員
  • 商品取引所会員
  • 建設工事紛争審査委員会委員
  • 教育委員会委員

この中で、人事院の人事官と教育委員会の委員長や委員の場合、すでに任命されているときは退職しなければなりません。

また、公正取引委員会の場合「破産手続開始決定を受けた場合」に罷免されます。

団体企業の役員

破産者の状態では、下記の職種の役員に就くことはできません。

  • 商工会議所
  • 金融商品取引業
  • 信用金庫
  • 日本銀行
  • 労働派遣業

日本銀行の役員の場合、在任中に破産手続きをおこなうと解任されます。復権を果たす果たさないに関わらず、役職を失うことになります。

一定の業種

破産者の状態では、下記の職種に就くことはできません。

  • 割賦購入あっせん業者の役員
  • 賃金業者の登録者
  • 質屋
  • 旅行業務取扱の登録者や管理者
  • 生命保険募集人
  • 警備業者の責任者や警備員
  • 建築業を営む者
  • 下水道処施設維持管理者
  • 風速業管理者
  • 廃棄物処理業者(一般・産業・特別管理産業)
  • 調教師や騎手
[aside type=”warning”]万一、自己破産をした事実を隠して、たとえば、警備員を続けた場合、その事実がばれると職場が処分の対象になります。[/aside]

また、破産者も資格制限の事実を隠していたことから一度退職扱いになるところを、復職できない免職になる可能性もあります。つまり、資格制限を受ける職種の人は自己破産をした事実を職場に伝える必要があります。

制限を受ける期間について

自己破産をすると、就業の制限や資格制限を受けることがあります。しかし、これらは一生続くものではなく、破産者から復権を果たすまでの期間だけです。

[aside type=”boader”] 破産者の期間は、破産手続開始決定を裁判所から受けてから免責許可決定を受けるまでであり、早ければ3ヶ月程度で復権を果たします。[/aside]

財産が一切ない状態での自己破産の場合、同時廃止事件となるのですが、同時廃止事件の場合は3ヶ月~半年程度で復権を果たすことができます。

不動産などの財産を持っている状態で自己破産をした場合、管財事件もしくは少額管財事件となります。管財事件の場合は復権を果たすまでに半年~1年以上はかかります。

そして、少額管財事件ですが、これは弁護士に依頼しておこなうことのできる、管財事件の一種です。ただ、管財事件と比べると免責許可決定を受けるまでの期間が短く4ヶ月~半年程度で復権を果たすことができます。

問題となるのが、免責許可を受けることができなかった場合です。免責不許可事由に該当すると免責不許可となります。免責不許可なので復権を果たすことができません。

[aside type=”boader”] そのため、

  • 任意整理で借金を0円にする
  • 破産手続きから10年間経過する
  • 高等裁判所で免責許可を得る

この3つの方法で、免責不許可でも復権を果たすことができます。[/aside] [voice icon=”/wp-content/uploads/concierge_tag.png” name=”concierge” type=”l”]高等裁判所か任意整理をして借金返済をするのが現実的な方法です。[/voice] [aside type=”boader”] つまり、最短で3ヶ月、最長で10年間は破産者となり職業の制限・資格制限を受けるでしょう。ただ、一般的には3ヶ月~半年で復権を果たし、職業の制限・資格制限はなくなります。[/aside]

自己破産者と転職

法律上は復権を果たしてしまえば、職業の制限・資格制限を受けることはありません。しかし、企業の中には自己破者経験者を雇用しない企業も存在します。

生命保険募集員などの信用が重要になる仕事の場合、自己破産者のほとんどを採用しません。不採用の理由は条件があわないなどといい、不採用の理由を自己破産者だからという風には回答しません。

[aside type=”boader”] また、

  • 銀行や消費者金融業者などの金融機関の場合
  • 親会社が金融系の場合
  • 信用情報機関の場合
  • 公務員を希望している場合

信用情報として自己破産の有無を調べられる可能性があります。[/aside]

国が発行している官報という新聞のようなものに、自己破産と免責許可を受けた際に、名前や住所などが掲載されます。そのため、官報を収集している企業の場合、自己破産をしたことはすぐにわかってしまいます。

ただ、金融系や生命保険募集員、公務員以外の職種に関しては、官報を使ってまで調べるということはまずありません。

[voice icon=”/wp-content/uploads/concierge_tag.png” name=”concierge” type=”l”]金融系や生命保険募集員、公務員などの職に就くのが難しくなるだけであり、その他の企業では気にするべきものではないでしょう。[/voice] [aside type=”warning”]また、自己破産により借金を帳消しにした消費者金融業者へ転職するケースは、まずないと思いますが、そのような場合、社内のデータベースに名前と自己破産をした情報が残っていますので、確実に不採用になるでしょう。[/aside]

自己破産の事実を履歴書に書く必要はあるのか?

履歴書には賞罰を記入する項目があります。

賞罰とは、スポーツ大会や絵画コンクールで賞をもらった経緯がある場合は、賞罰の項に記載をする必要があります。

また、罰についてですが、これは刑事罰を受けた場合に記入をします。明確な基準はありませんが、1年以上の懲役・禁固刑を受けた場合は記入する必要があります。つまり、裁判で有罪判決を受けた場合に書くのが罰です。もし、刑事罰があるにも関わらず記入をしなかった場合、経歴詐称となり、懲戒解雇事由に該当します。

[aside type=”boader”] 自己破産は、賞でも刑事罰でもありませんから、履歴書に記載する必要はありません。[/aside]

面接で自己破産をした経験を話べきか?

転職・就職活動をする上で、企業と数回、面接をすると思います。面接の際に自己破産をした事実を正直に話べきか、それもと話ないでおくべきか悩むかもしれません。

このような場合、自己破産をした事実をわざわざ面接官に伝える必要はないでしょう。

なぜなら、自己破産は刑法に触れるようなことではないからです。借金の返済で困った場合、誰でも利用することのできる法律で定められた正当な権利です。さらに、非常にプライベートな話題になります。そのため、わざわざ話す必要はありません。

[aside type=”boader”] 自己破産は極めてプライベートな話題になりますので、自己破産の有無を聞く面接というのも基本的にないでしょう。[/aside]

自己破産と給料

ここからは、自己破産をして差押えられる可能性のある給料と退職金の話に触れていきたいと思います。

自己破産をすると給料を差押えられてしまうのか?

自己破産をした場合、給料というのは財産(債権)のひとつとされますので、差押えの対象になります。

しかし、民事執行法では差押禁止債権として給料・賃金を規定していますので、自己破産をして差押え可能額は4分の1までしか差押えを認めていません。つまり、残りの4分の3については差し押さえることはできません。

また、政令で33万円を標準的な世帯の必要生活費としています。つまり、33万円以下は4分の1までしか差押えすることができませんが、33万円以上の給料を得ている場合、33万円以上は全額差し押さえることが可能となります。

[aside type=”boader”] ただ、破産法が改正されたことに伴い、自己破産手続開始決定後の給料の差押えなどの強制執行は停止されるようになりました。管財事件では、自己破産開始と同時に強制執行が失効します。そのため、破産手続開始後すぐに給料を全額受け取ることができます。[/aside]

しかし、同時廃止事件の場合、自己破産の開始と同時に強制執行が中止されますが、免責許可が確定するまでは強制執行が失効しません。そのため、破産手続き中に差押えられた給料を受け取ることはできません。

免責許可が確定すれば、強制執行は失効します。そして、支払いが留保されていた給料分については、免責許可の確定後にまとめて支払われます。

実務上の扱いでは、給料の4分の1相当部分については、東京地方裁判所では自由財産拡張の項目には含まれていません。しかし、給料の4分の1であっても処分されてしまうと生活が立ち行かなくなってしまう可能性があります。
[aside type=”boader”] そのため、給料は処分換金の対象とはならず、事実上は自由財産、つまり、債務者の財産として手を付けないのが一般的です。[/aside]

自己破産をすると退職金はどうなるか?

退職金も財産としてみなされる場合もあります。

退職金については、将来もらえる見込み額の8分の1程度の金額を債権者の配当に回すように、裁判所から指示を受けます。

将来退職金をもらえる見込みがあるとはいっても、現実に退職金が手元に入ってくるのは先の話です。また、退職をするときに退職金をもらえるのかという点も未知数になります。

このような場合、給料などと同じように4分の1を換金処分してしまうと、破産者に不当な負担を与える可能性が非常に高くなります。

[aside type=”boader”] そのため、東京地裁の場合、財産換価(自由財産拡張)基準によって、退職金支給見込み額の8分の7を自由財産として取り扱っています。つまり、換金処分が必要な範囲の退職金は8分の1だけで済むというわけです。[/aside] [voice icon=”/wp-content/uploads/concierge_tag.png” name=”concierge” type=”l”]そのうえで、8分の1の金額が20万円に見たいない場合は、退職金全額を自由財産にするという取り扱いを東京地方裁判所では行っています。簡単にいえば160万円以上退職金支給見込み額がある場合だけ、退職金が財産とみなされます。そして、160万円の8分の1を換金処分すればいいのです。[/voice]

まとめ

自己破産をすると仕事にどのような影響があるのかといえば、警備員など破産者が就くことのできない仕事以外には、まったく影響はありません。

また、自己破産をした事実というのは会社に通知されることはありませんので、自分で言いふらさない限り、自己破産をしたことが会社にばれる心配というのもないでしょう。

さらに、自己破産をしたことが会社にばれたとしても、会社は自己破産をしたことを原因に解雇することも、労働基準法により不可能です。

しかし、自己破産をして破産者になった場合、特定の職種や資格制限を受けることになります。
[aside type=”boader”]

  • 弁護士
  • 弁理士
  • 公認会計士
  • 税理士
  • 公証人
  • 司法書士
  • 行政書士
  • 土地家屋調査士
  • 不動産鑑定士
  • 通関士
  • 宅地建物取引士
  • 公証人
  • 人事院の人事官
  • 国家公安委員会委員
  • 都道府県公安委員会委員
  • 検察審査員
  • 公正取引委員会委員
  • 商品取引所会員
  • 建設工事紛争審査委員会委員
  • 教育委員会委員
  • 商工会議所の役員
  • 金融商品取引業の役員
  • 信用金庫の役員
  • 日本銀行の役員
  • 労働派遣業の役員
  • 割賦購入あっせん業者の役員
  • 賃金業者の登録者
  • 質屋
  • 旅行業務取扱の登録者や管理者
  • 生命保険募集人
  • 警備業者の責任者や警備員
  • 建築業を営む者
  • 下水道処施設維持管理者
  • 風速業管理者
  • 廃棄物処理業者(一般・産業・特別管理産業)
  • 調教師や騎手

上記の職業は制限がかかります。[/aside]

また、自己破産をしたことは、転職の際に履歴書に書く必要もなければ、面接などで自己破産をした事実を話す必要もありません。

自己破産をすると給料の4分の1が差押えの対象になりますが、実務として差し押さえられる可能性はあまりありません。

また、退職金については支払われる可能性のある8分の1の額が差押えの対象になります。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です