



ということで、今回は自己破産をした場合、子供にどのような影響があるのかを紹介します。自己破産をすると、子供の進学や就職、そして結婚に影響があるのかなどを詳しく紹介をしていきます。
自己破産をすると子供の将来に暗雲がさすのではと心配している方は必見です
目次
自己破産をすると子供にどのような影響があるのか?

さて、問題になるのが、自己破産をすると子供に迷惑がかかるかといえば、答えは「NO」です。一切迷惑が掛からないというといいすぎになりますが、子供には迷惑はかかりません。
たとえば、自己破産をすると信用情報機関という機関の個人信用情報に自己破産という金融事故を起こした人物であるという記録が残ります。ブラックリストに載る状態ですが、この状態になりますと、クレジットカードやカードローン(キャッシング)、住宅ローン、自動車ローンを組むことができなくなります。10年経過でこの状態は解除されますが、その間、審査に通りにくくなります。
しかし、このブラックリストに載る人は自己破産を申し立て人のみであり、自己破産者の子供ということでブラックリストに載ることはありません。

子供に借金の取立てはいくのか?
血のつながった親の借金の連帯保証人になっていない限り、子供に借金の請求や取立が行くということはありません。親が行方をくらませたとしても、子供や配偶者が借金の肩代わりをする理由にはなりません。

問題になるのが借金を残したまま死ぬ
自己破産をせずに借金を残したまま死ぬと、今度は子供に大きく迷惑が掛かります。自己破産をしておけば、借金の支払いは帳消しになります。税金などの納税の義務のあるもの、慰謝料などは帳消しにならないのですが、消費者金融業者から借りた借金などは全額帳消しにすることが可能です。
相続放棄にしても家庭裁判所で正式に手続きをしなければなりません。しかも、相続を放棄すると不動産や預金などの相続財産が他にあれば、それらもすべて放棄しなければならないのです。また、相続放棄は死亡してから3ヶ月以内に行うのですが、3ヶ月後に借金の請求をしてくる悪質な業者というのも存在します。

自己破産をして子供に迷惑がかかるケース

マイホーム・自家用車を持っている場合
マイホームや自家用車を持っている場合、自己破産をすると換金処分の対象になります。換金処分の対象になりますので、マイホームや車を失うことになります。つまり、子供が実家暮らしをしていると迷惑をこうむることがあります。
子供名義の貯金も換金処分対象になる
子供名義で貯金をしている場合、あからさまに子供が自分で貯金をしていない場合、例えば、5歳の子供の貯金などは、あからさまに子供が貯金したとは考えにくく、自己破産をした親が子供名義で貯金をしたと考えることが自然です。
このような場合、その貯金は親の財産として考えられますので、処分の対象になります。
ただし、子供のお年玉などをためたものであることがきちんと証明できるのであれば、それは子供名義の財産としてみなされますので、処分を免れる可能性もあります。
学資保険は自己破産をすると処分の対象になる

では、学資保険の名義が子供の名義の場合だったらどうでしょうか。自己破産は自己破産者名義の財産しか処分することができませんので子供の名義の学資保険は処分することはできません。
しかし、子供名義の貯金の項でも説明しましたが、その積立を行っているのは、子供自身ではなく親が積み立てをしていると考えるのが自然です。そのため、学資保険についても子供の財産とは認められません。
また、学資保険は性質上、積立型の契約というのがほとんどです。途中で解約した場合、今までの積み立てたお金の中から解約返戻金が手元に戻ってきます。この解約返戻金は途中解約によっても受け取ることができるお金になりますので、自己破産をすると財産の一部としてみなされます。そして、自己破産の手続きの途中で借金の清算に利用されます
ただし、抜け道があり、自己破産は原則20万円以上の財産は処分の対象になりますが、自己破産では20万円以上の財産であっても「自由財産」として保有し続けることが認められる場合があります。
この自由財産拡張申立は裁判所にて行いますので、実務では学資保険の解約返戻金の雄額や、そのた財産状況、破産管財人の判断次第なところもあり、必ず学資保険を守ることができるというわけではないのですが、解約をせずに残せるケースも存在します。

学費面にての子供の影響

「学資保険は自己破産をすると処分の対象になる」でも記載をしましたが、学資保険は処分の対象になります。そのため、学費の面では子供は不利益を被ることになるでしょう。自由財産拡張申立てに成功をすれば、学費面で子供にかける迷惑の度合いは少なくなると考えることができます。
では、その他の学費面にて子供にどのような影響があるのかを紹介します。
奨学金の保証人に自己破産者はなれない
学費で困った際に利用できるのが、独立行政法人日本学生支援機構(JASSO)にて利用することにより奨学金の支給を受けることができます。奨学金は子供が主債務者となりますので、利用する上ではなんの問題もありません。
しかし、保証人となる保護者が自己破産から5年経過していない場合、その保護者は保証人となることはできません。そのため、自己破産をしていない保護者か親戚に保証人を依頼しなければなりません。もしくは、少し高額にはなりますが保証会社に保証人になってもらうといいでしょう。
教育ローン
教育ローンとは、保護者が主債務者になり借りる教育資金です。フリーローンよりも低金利の教育資金に特化したローンになります。
また、クレジットカード会社と提携をしている大学などもあります。この場合、入学金や授業料が直接大学などの提携校の口座へ入金されるという教育ローンもあります。
つまり、教育ローンを利用するには自己破産をしてから最短で5年、銀行の教育ローンは10年経過しなければ利用するのが難しいでしょう。
自己破産をすると子供の進学に影響があるのか?

つまり、子供が大学へ進学する場合、両親の個人信用情報が大学側によって閲覧される可能性というのはないのです。そのため、親が自己破産をしていようが、子供が希望する大学へ入学できないということはありえません。
影響としては、前述したとおり自己破産から5年未満では、奨学金の保証人になることができない、5年~10年未満では教育ローンを利用することができない点です。
自己破産をすると子供の就職へ影響があるか?
就職にあたって、両親の個人信用情報を見るというケースはありませんので、親が自己破産をしたから就職先が決まらないということはありません。
しかし、親が自己破産をした際に借金を帳消しにされた企業などへ就職を考える場合は、注意が必要です。企業、つまり、金融機関ですが金融機関は信用情報機関の個人信用情報以外にも社内で自己破産者のデータを集めています。自社から借金をして自己破産をしたもののデータです。これは社内でのみ使用されるものです。
ただ、親と別の住所に住んでいる場合、親と子供である関係性を見抜くことは難しいので、自己破産をして親が借金を免除した金融機関へ就職を考える場合、一人暮らしをしていればいいでしょう。
自己破産をすると子供の結婚に影響があるのか?

親が自己破産をしたからと言って子供の縁談が破算することは、まずありえません。相手の両親が探偵などを雇い調べた場合は、自己破産をした記録というのはばれるでしょう。
官報という国の広報紙に2回名前などが載り、その官報はしかるべき機関でだれでも閲覧することができるので、探そうと思えば探すことが可能です。
まとめ
まず、親が自己破産をしても子供は、連帯保証人でもない限り、親の代わりにお金を債権者に支払う必要はありません。これは逆もしかりであり、子供が作った借金を親が肩代わりする義務というのはないのです。
子供が被る不利益としては、自己破産者の親が不動産などのマイホームを持っている場合です。その場合は、自宅を出ていかなければなりません。また、車を持っている場合も没収されてしまいます。
さらに、親が子供名義でためていた貯金というのは、あからさまに親の財産になりますので、没収の対象になってしまいます。また、学資保険など解約返戻金が20万円以上の場合は、解約されてしまいます。しかし、自由財産拡張申立てをすることにより、返戻金が20万円以上あったとしても解約されずにすむ可能性が高くなります。ただし、この手続きは困難なので弁護士などに依頼をして行うことがいいでしょう。
