自己破産をすると車は処分しないとダメ?自己破産をしても車を所有する方法とやってはいけない回避方法

この記事を見ているということは、自己破産をしても車をどうにかして手元に残したいと考えていますね? 確かに自己破産をしますと一定の財産を処分しなければなりませんが、地方圏在住の方には車は生活必需品です。

車を処分されてしまっては困ってしまいます。また、家族に介護が必要な方がいる場合も車の処分は自己破産をする上で頭の痛い問題になります。

今回は、自己破産をした場合、車は本当に処分されてしまうのか、処分をまぬがれるためにやってはいけないことなどを紹介していきます。自己破産は人生のリスタートですが、ゼロからのリスタートではありません。有利な条件で人生を充実させましょう。

自動車ローンが残っている場合の自己破産

車を残し自己破産をする場合、一番の問題になるのが自動車ローンです。

自動車ローンは2つに分けることができます。

  • ディーラーローン
  • 銀行系マイカーローン
ディーラーローンなのか、それとも銀行系マイカーローンなのか、これにより自動車ローンにより、車を失うか失わないかという結果が異なってきます。

ディーラーローン

ディーラーローンというのは、ディーラー経由でローン会社(信販会社)と契約を結ぶ自動車ローンのことです。

ディーラーローンの場合、車の所有権はローン会社が持つことになります。これを「所有権留保特約」といいます。つまり、所有権がローン会社に残る契約なのです。

仮に所有者名義になっていたとしてもローン契約に所有権留保特約の条項があれば、所有権はローン会社が持つことになります。

所有権がローン会社になりますので、ローンの返済ができない場合には、車の価値に関わらず車は引き揚げられてしまいます。もちろん、自己破産の手続きを始めた時点で車は引き揚げをされてしまいます。

あなたが本当に車の所有者になるためには、ディーラーローンを完済する必要があるのです。

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ディーラーローンの場合は、ローンが返済不可能、つまり、自己破産をした時点で中古車業者が買取に来て、車は売却されます。売却代金は自動車ローンの残債務の返済に利用されてしまいます。

そのため、車を失ってしまうわけです。

ディーラーローンと別除権

余談になりますが、平成22年6月4日の最高裁で車検証の所有者欄にディーラーの名前が記載されている場合、自己破産をしたとしても「別除権」という権利を行使して車を引き上げることができないと判決がくだされました。

別除権とは、破産法2条9項にて定められている権利であり、破産手続開始時に破産財団(破産者の財産)に属する財産を、担保権にもとづき破産手続によらず優先的そして個別的に弁済を受けることができる権利になります。

もっと簡単にいえば、自己破産をしたとしても破産管財人の許可をとることなく自由に換金処分して債務の弁済に充てること認めた権利です。

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つまり、車検証の所有者の欄にディーラーの名前がある場合、車は引き揚げられずに済むということです。

ディーラーローンで車を手元に残す方法

ディーラーローンは自己破産をしたら問答無用で車を引き上げていってしまいます。そのため、ローン会社に車を持って行かれないようにするためには、ローンの名義人を変更すればいいのです。

ローンの名義人を親や兄弟に変更することで、自分が自己破産をしても支払不能状態と判断されず、ローン会社が車を引き上げにはやってこないのです。
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ただ、この方法は厳しい審査に通過する必要があるので、必ずできる方法というわけではありません。

銀行系マイカーローン

銀行が金融商品として提供しているマイカーローンです。

こちらは、車の所有権が初めから所有者本人のものになっており、自己破産をしたとしても車が銀行によって引き揚げられてしまうことはありません。

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つまり、銀行系マイカーローンの場合は、自己破産をしたとしても車を失うことはありません。
ただし、銀行系マイカーローンを利用した状態で自己破産をしてしまいますと、2度とその銀行からローンや借入をすることができなくなります。また、口座を開設している場合、凍結される可能性がありますので注意をしましょう。

また、口座にいくらかお金が入っていると、そのお金を使いローンと相殺する可能性があります。

自動車ローンを完済し自己破産をする場合

前項ではローン返済中、車がどうなるかについて記載しました。

では、自動車ローンを完済している状態ならば、自己破産をした場合どうなるのかといいますと、ローンがなく完全にあなたの所有物になっていますので、手元に車を残すことは可能です。

しかし、自動車の中古車査定評価額によって、自由財産(手元に残る財産)とはならず換金処分の対象になってしまうことがあります。

査定額が20万円以上の場合

まず、車を中古車販売店などで査定をしてもらい、査定額が20万円以上の場合、それは立派な財産として扱われてしまいます。つまり、破産財団に組み込まれ換金・処分をされてしまいます。

査定額が20万円以上の場合は車を手元に残すことができないということです。
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20万円以上だった場合、車を手元に残すためには、20万円以下の車と買い替えをすることが一番有効な手段です。買い替えをすることで、査定額を20万円以下にすることが可能です。

査定額が20万円以下の場合

査定額が20万円以下の場合は、破産財団に組み込んで処分・換金してもそこまで債権者にはメリットがなく、破産者の生活などを考慮した場合、残した方がいいと判断されますので、査定額が20万円以下の車の場合は原則として手元に残ります。
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そのため、3社以上の中古車ディーラーから20万円以下の査定評価書を作成してもらっておくといいでしょう。事情を話すことで安く査定をしてくれるケースもあります。

自動車を手元に残すためのもう1つの目安

20万円以上、20万円以下というのが1つの目安であると紹介しましたが、もう1つの基準があります。

それが、初年度登録より7年以上経過した車は換金処分しないというものです。
大阪地裁の判断では、

  • 普通自動車は初年度登録より7年経過
  • 軽自動車および商用の普通自動車(仕事に使うための車)は初年度登録より5年以上経過

していれば、無価値と判断されて換金処分されません。

東京地裁の場合では、

  • 普通自動車は初年度登録より6年経過
  • 軽自動車および商用の普通自動車(仕事に使うための車)は初年度登録より4年以上経過

していれば、無価値と判断されて換金処分されません。

つまり、7年以上乗っていれば、車は破産財団に組み込まれて換金処分されずに済む可能性が高いといえます。

もちろん、輸入車や高級車などは7年経過しても査定額が20万円以上します。また、ビンテージものなら逆に価格が上がるケースもありますので、全てにあてはまる基準ではありませんが、一般車については、この基準で問題ないでしょう。

20万円以上の車を手元に残すには?

自動車の価値が高価な場合は、車を処分して債権者へ配当をしなければならないと判断される可能性があります。しかし、車の所有が許可されるケースというのも存在します。

  • 同時廃止事件の基準内に収まる場合
  • 自由財産の拡張範囲内であれば処分されない
  • 99万円基準を満たしている

この3点に収まった場合は、車の所有が許可されます。

また、どうしても車を手放すことができないという場合は、車を破産財団から破棄してもらう代わりに同額の自由財産を破産財団に組み込むという方法があります。

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つまりは、車を破産財団から購入するということです。

同時廃止事件の基準内に収まる場合

破産法216条1項において「裁判所は、破産財団を持って破産手続の費用を支弁するのに不足すると認めたときは、破産手続開始決定と同時に破産手続廃止の決定をしなければならない」と定めています。

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つまり、同時廃止事件の基準とは、「破産財団(破産者の財産)を持って破産手続の費用を支弁するのに不足すること」です。
20万円以上の車を所有していたとしても、その他の財産の総額と勘案して、破産手続の費用を支弁するのに不足していうる場合は、同時廃止事件となり、車は処分されることなく、所有し、そのまま乗りつづけることが可能であるというわけです。

自由財産の拡張範囲内であれば処分されない

自由財産の拡張になる場合ですが、病気や要介護状態でどうしても病院へ行くために車が必要であるという場合にも自由財産の拡張として車の所有が認められることがあります。

99万円基準を満たしている

99万円基準ですが、現在のところ大阪地裁で採用されており、東京地裁でも似た基準で運用されている、自由財産の拡張範囲についての基準です。

 これは、車などを含むすべての財産の評価額が同時廃止事件の基準を超え、管財事件になったとしても、財産の合計額が99万円を超えていなければ、すべて自由財産の拡張として自由財産として認められます。
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たとえ、車の査定額が20万円以上であったとしても、その他の財産の合計金額が99万円以下であれば、自由財産となり、車に乗りつづけることが可能になります。

裁判所によりこの基準が適用されているのかは、事前に問い合わせる必要があり、場合によっては利用できないこともありますので注意をしましょう。

家族名義の車について

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自己破産をするとき、家族の車も処分しなければならないのでしょうか?
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自己破産の範囲は自己破産の申立をおこなった本人のみにしか効力を発揮しません。例外はありますが、家族名義の車は処分する必要はありません。
自己破産をしたとしても、車の名義が家族名義であれば、それは自己破産者の財産にはなりませんので、家族が連帯保証人や保証人になっていない限り、家族の車が破産財団に組み込まれて処分されてしまうということはありません。

あくまでも、自己破産者名義の車だけが、破産財団に組み込まれ換金処分されるわけです。

しかし、例外もあります。

たとえば、妻名義の車があるものの、妻は専業主婦であり、その車のローンを夫が払っているというケースです。夫が自己破産をしますと、妻の名義であったとしても、購入し支払をおこなっているのがあからさまに夫なので、このような場合は夫の財産と認定され処分の対象になります。

妻が仕事をして収入を得ており、車を購入しているのであれば、このような処置はとられません。

車を所有し続けるためにやってはいけないこと

車の所有を続けるためにやってはいけないことが、自己破産前の名義変更です。

自己破産をした場合、その効力が及ぶのは自己破産をした本人名義の財産だけであると前述しました。そのため、自己破産者名義の車は没収の対象になります。

それを避けるために、自己破産をする前に、たとえば配偶者名義に車の名義を変更するという手法ですが、この方法は破産法の免責不許可事由にて禁じられています。

つまり、免責不許可事由である「債権者を害する目的で、破産財団に属し、又は属すべき財産の隠匿、破壊、債権者に不利益な処分その他の破産財団の価値を不当に減少させる行為」をしたことになります。

免責不許可事由に該当し、免責不許可になった場合、

  • 高裁に即時抗告
  • 任意整理後、破産裁判所で復権
  • 10年間、待ち復権

このような選択肢をとるひつようがあります。

免責許可を受けない限り、破産者から復権をすることもできませんし、借金の帳消しもありません。破産者という制限の多い状態のままで過ごす期間が無駄に長くなるだけです。

むしろ、免責不許可事由になるだけであれば幸いな方で、破産法で定められている詐欺破産罪という罪になり、罰則を受ける可能性もあります。

詐欺破産罪について

財産を隠したり破壊したり、債権者を害する目的で財産を譲渡したりすることを、破産法では禁止しています。

破産法265条、破産手続開始の前後を問わず、債権者を害する目的で、次の行為である、

  1. 債務者の財産を隠匿し、または損壊する行為
  2. 債務者の財産の譲渡または債務の負担を仮装する行為
  3. 債務者の財産の現状を改変して、その価格を滅損する行為
  4. 債務者の財産を不利益に処分し、または債権者に不利益な債務を債務書が負担する行為(この場合、情を知って(不正行為だという事情を知って)この行為の相手方となった者も、破産手続開始の決定が確定したときは同様とする)

をした債務者については破産手続開始が確定したときは、10年以下の懲役もしくは1,000万円以下の罰金またはこれらが併科されます。

このように、自己破産をするつもりが1,000万円以下の罰金を背負うはめになる可能性もあります。

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少しでも財産を残し有利に過ごそうと考えるのは当然ですが、ズルをしては、それなりのペナルティーがあるというわけです。

車の所有権を他人に移すには?

車の所有権を他人に移すということじたいは禁止されていません。あくまでも、不当に安く売り渡すというのが免責不許可事由なのです。

そのため、車の所有権を他人に移す場合は、債権者が納得する正当な価格にて買取をしてもらえばいいのです。正当な価格については、中古車ディーラーで査定をしてもらい出した価格というのがいいでしょう。

また、買取ってもらい手に入ったお金(売却益)は、借金の返済に充てられてしまいますので、一切手元には残りません。

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名義変更をして車を他人の名義にするという方法は、あまりメリットがなく、デメリットの方が多いので確実に自己破産をしたいのであれば、利用するべき手段ではないのです。

自己破産前に車を売却して大丈夫なのか?

先ほど、車の所有権を他人に移す行為について記述しました。しかし、これは免責不許可事由にはならないのでしょうか。

結論からいえば、

  • 適正な価格で売却する
  • 売却益を無駄にしない

この2点さえ守れば、免責不許可事由には該当しません。

前述した免責不許可事由は、「債権者を害する目的で、破産財団に属し、又は属すべき財産の隠匿、破壊、債権者に不利益な処分その他の破産財団の価値を不当に減少させる行為」です。

この免責不許可事由に違反しないように適正な価格での取引をすれば問題ないでしょう。もちろん、夫の車を妻が適正な価格で買取、買取額を債権者へ支払い名義変更をするということも可能です。しかし、財産隠しを指摘される可能性もありますので、おこなう場合は弁護士に確認をとってからおこなうことをおすすめします。

独断でやって、詐欺破産罪や免責不許可事由になっても面白くありません。

また、適正な価格で売却できた車の代金を無駄遣いしてしまいますと、免責不許可事由の「浪費又は賭博その他の射幸行為をしたことによって著しく財産を減少させ、又は過大な債務を負担した」ことにひっかかり、免責不許可になります。

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そのため、裁判所でも納得するようなしっかりとした適正価格で売却して、何に売却益を使用したのか証明するものを用意しておくことがいいでしょう。間違ってもパチンコなどで浪費してしまわないようにしてください。

まとめ

ディーラーローンのような所有権をローン会社が持っている場合は、自己破産をしてしまうと問答無用で車は没収されてしまいます。しかし、銀行系ローンの場合、車の所有権を自分自身が持っていますので車は没収されずに済みます。

また、

  • 20万円以下の査定額の車
  • 7年以上乗っている車

これらは価値がないと判断されて、破産財団に組み込まれ換金処分されることはありません。

さらに、車が20万円以上の査定額だったとしても、

  • 同時廃止事件の基準内に収まる場合
  • 自由財産の拡張範囲内であれば処分されない
  • 99万円基準を満たしている

これらの条件を満たすことで、破産財団に組み込まれて換金処分される心配というのは無いのです。

ただし、車をどうしても残したいとして自己破産前に名義を変更してしまうと、詐欺破産罪という罪に問われ、10年以下の懲役もしくは1,000万円以下の罰金またはこれらが併科されます。

もちろん、免責不許可事由に該当しますので弁護士の指示に従い、違法にならないように車の進退を決めていきましょう。

concierge
ただ、自己破産をしたからといって車を絶対に失うというわけではないことは覚えておいてください。

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