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自己破産をすると保証人や連帯保証人に迷惑がかかってしまうのか? 自己破産の保証人への影響解説

[voice icon=”/wp-content/uploads/woman_tag.png” name=”woman” type=”r”]自己破産を考えていますが、連帯保証人へ迷惑はかかるでしょうか?[/voice] [voice icon=”/wp-content/uploads/concierge_tag.png” name=”concierge” type=”l”] 帳消しになった借金全額の支払い義務が連帯保証人へ発生します[/voice] [voice icon=”/wp-content/uploads/woman_tag.png” name=”woman” type=”r”]連帯保証人への影響を少なくしたい場合はどうすれば……[/voice] [voice icon=”/wp-content/uploads/concierge_tag.png” name=”concierge” type=”l”] 任意整理か特定調停を利用して債務整理をするしかないでしょう[/voice]

今回は自己破産をするうえで、保証人や連帯保証人にどのような影響が出るのかを紹介していきます。また、連帯保証人への影響の少ない債務整理の方法も併せて紹介をしていきたいと思います。

連帯保証人付きの借金をしている方は、必読です。

連帯保証人とは?

連帯保証人の他に保証人というものがあります。

[aside type=”boader”] 連帯保証人とは、主債務者(実際にお金を借りた債務者)が滞納・自己破産をしたときに、主債務者に代わり債務の返済をおこなうと約束をした人です。[/aside]

連帯保証人には、保証人に認められている3つの権利が認められていません。

連帯保証人の認められていない3つの権利

保証人とは異なり、連帯保証人には3つの権利が認められていません。

[aside type=”boader”] 3つの権利とは、

これらを連帯保証人は持っていません。[/aside]

保証人は持っている権利ですが、連帯保証人はこれらの権利を持っていません。

催告の抗弁権

催告の抗弁権とは、保険者が保証人に対して保証債務の履行(お金の返済)を要求した場合、まずは主債務者に請求をしてくれと債権者の要求に抗弁する権利です。

保証人はこの権利が認められていますが、連帯保証人にはこのような権利は認められていません。

[aside] ちなみに、保証人だとしても主債務者が雲隠れをしてしまった場合、債権者は主債務者に要求することができませんので、催告の抗弁権を実行することは不可能です。[/aside] [voice icon=”/wp-content/uploads/concierge_tag.png” name=”concierge” type=”l”]つまり、連帯保証人は保証債務の履行を債権者から要求された場合、素直に従う以外の方法がありません。[/voice]

検索の抗弁権

検索の抗弁権とは、保証人が債権者に対して主債務者の所有している財産を換金処分して借金の返済にあてることができるのであれば、まずは主債務者の財産を差押えて換金処分してくれと要求をする権利です。

保証人の場合は、主債務者の財産を先に差押えるまでは、保証人は債権者から保証債務を要求されても拒否することが可能です。しかし、連帯保証人には検索の抗弁権が認められていませんので、素直に従うしかありません。

[aside] ちなみに、民法第453条にて、保証人が検索の抗弁権を行使するためには、主債務者が借金の返済にあてる財産を持っていて、その差押えが簡単にできることを証明する必要があります。さらに、検索の抗弁権が実行された場合は、債権者は債務者の差し押さえることのできる財産の有無を調べなければなりません。[/aside]

分別の利益

分別の利益とは、保証人が複数人存在する場合、借金額を保証人の頭数に応じて平等の割合で分割し、保証人はその分割された借金額分しか返済の責任を負わなくて良いという権利になります。

[aside type=”boader”] 保証人が5人いて借金が1000万円あるとすれば、5当分して、保証人は1人200万円の返済義務を負うわけです。[/aside] [aside type=”warning”]連帯保証人には、この分別の利益がありませんので、5人の連帯保証人がいても全員が1000万円の全額の返済義務を負います。そのため、5人の連帯保証人の中で一番お金を持っていそうな連帯保証人へ1000万円の請求がいくケースもあります。[/aside]

金融機関での保証人

[aside type=”boader”] 金銭消費貸借契約において、

保証人=連帯保証人

このようになります。[/aside]

連帯保証人は前述したとおり保証人に認められている3つの権利がありません。

そのため、主債務者が借金の返済ができなくなった場合、連帯保証人へ債権者から請求が来ますが、その請求に連帯保証人は抗弁することができません。つまり、主債務者と同等の借金返済の義務を負うことになるわけです。

[aside type=”warning”]連帯保証人は絶対に引き受けるべきではないと言われています。特に自己破産をされた場合、期限の利益を喪失している状態での借金の一括返済の要求が来ます。[/aside]

結果として、連帯保証人も自己破産をしなければならないというケースがあるわけです。

[aside type=”boader”] 2014年の日本弁護士連合会の「破産事件及び個人再生事件記録」によると、破産した人の負債の原因では、27.18%が「保証債務や第三者の債務の肩代わり」で自己破産をしています。[/aside]

複数回答になっているので、保証債務や第三者の債務の肩代わり以外にも自己破産をした原因がある可能性はありますが、27.18%というのは、自己破産をした人の中では2番目に多い、自己破産の原因となっています。

自己破産をした場合の保証人への影響

保証人や連帯保証人は、金融機関がお金を貸す際に債務者に信用力が少ない場合に要求されるものです。

[aside type=”boader”] たとえば、

このような場合に、保証人や連帯保証人を付けるように要求されることがあります。[/aside]

このような条件で連帯保証人をつけて、借金をしたはいいものの、主債務者が返済不能となった場合、自己破産をしていなくても連帯保証人は代わりに返済をする義務があります。

債務者が自己破産をした場合は、連帯保証人のみならず保証人も借金の代位弁済をする義務が生じます。そのため、連帯保証人と保証人は主債務者の代わりに、金融機関からの借金の請求を受けるでしょう。

[aside type=”boader”] 自己破産をすると、債務者は借金の支払い義務が免除されますが、保証人と連帯保証人には返済義務が発生します。そのような理不尽な制度が保証人制度となります。[/aside]

そして、自己破産を主債務者がした場合、連帯保証人は原則として「借金の一括請求」がなされます。なぜかといいますと、自己破産をした場合、主債務者は期限の利益を喪失しているからです。

期限の利益とは、借金を毎月分割して返済をすることを認めた債務者の権利です。期限の利益を喪失すると借金全額を一括で返済しなければならなくなります。

期限の利益を喪失するには、連続して何ヶ月も支払いを滞納する必要があります。住宅ローンの場合、任意売却をするための条件として期限の利益の喪失がありますが、3ヶ月~6ヶ月間連続して住宅ローンの返済を滞納することで「期限の利益の喪失予告」という書面が届いたのちに、期限の利益を喪失します。

しかし、自己破産をした場合は即期限の利益を喪失します。なぜなら、自己破産をするということはすでに、返済能力がないということなので、債務者の権利である期限の利益を与えていても意味がないからです。

ただ、自己破産をした場合、特定の債務者に返済をすることは、偏頗弁済として禁止されています。つまり、主債務者へ借金の請求を債権者はできなくなります。そのため、連帯保証人へ請求をするわけです。

しかも、自己破産をしている場合、請求が保証人や連帯保証人のもとへいきますが、期限の利益を喪失しているので、保証人や連帯保証人は借金の残債務を一括返済しなければならないのです。

連帯保証人に返済能力がないと自己破産をするはめになる

主債務者が自己破産をして連帯保証人に支払い義務が発生したとしても、保証人が返済できないときは保証人も自己破産及び債務整理をする必要があります。

きちんと返済することを保証すると金融機関に約束をして保証人になったのですから、連帯保証人や保証人には、借金を返済する義務があります。そして、返済をすることができないのであれば、自己破産及び債務整理をする必要があります。

[aside type=”boader”] 保証人や連帯保証人も自己破産をしてしまえば、保証債務が免除されます。自己破産をすれば、自分の借金のみならず、保証債務を含めたすべての支払い義務がなくなります。[/aside]

なぜ、保証債務が免除されるのかですが、自己破産の基本的な考え方として、誰が作った借金なのかということは、自己破産をする上では全く関係なく、自分に支払い義務のあるものはすべて支払い免除対象の負債として扱われます。

連帯保証人には、少しでも早く誠実に相談をする必要がある

自己破産の手続きを行うと、開始決定の通知と同時に貸金業者や債権者から保証人に請求がいく可能性が非常に高くなります。そのとき、保証人にまったく相談をせずに自己破産をしてしまいますと、突然、請求がくることになりますので保証人は驚いてしまうでしょう。

これは非常に酷な話であり、最低限の道義的な責任として、自己破産をする前に必ず相談をするべきです。

連帯保証人や保証人に自己破産を検討していることをきちんと伝えるというのは、あまり気持ちのいいものではありませんが、支払い不能になり、他に選択しがない場合には、少しでも早く自己破産を検討している旨を伝えて、連帯保証人や保証人にも準備をする時間を与えるというのが必要です。

最低でも、自己破産をおこなう1ヵ月程度前には連帯保証人にその旨を相談するようにしましょう。

連帯保証人や保証人に準備する時間を与えるとしても、そもそも、返済能力がないのであれば一括請求をされても返済することができません。そのような場合、債務整理である任意整理、特定調停の申立て、個人再生、そして自己破産の手続きが事前にできるよう、手をまわしておきましょう。

連帯保証人や保証人に何が最適な処理方法であるかについては、まずは自己破産を依頼している弁護士から相談を受けることがいいでしょう。分割弁済を選択するのであれば、その処理については、保証人や連帯保証人自身が弁護士に依頼してもらい、話を詰めていくべきです。

保証人は支払った金額を主債務者に請求することができるのか?

主債務者が自己破産をしたことで、保証人や連帯保証人が代わりに返済をすることになった借金の金額を、主債務者に請求することができる権利というものがあります。

[aside type=”boader”] それが「求償権」というものです。[/aside]

求償権とは、保証人が今度は債権者となり、主債務者に返済を要求することができる権利です。

[aside type=”warning”]しかしながら、自己破産をした主債務者に対しては、この求償権を実行することができません。自己破産をおこなった場合、裁判所によりその主債務者には返済能力がなく、将来的にも返済を期待することができないと判断されていますので、保証人は自己破産者に対しては求償権を行使することができなくなります。すべての借金を帳消しにすることができる債務整理の方法が自己破産になりますので、その中に求償権も含まれているというわけです。[/aside]

離婚と連帯保証人と自己破産

結婚をしているときに住宅ローンなどの連帯保証人になっている場合、離婚をしたとしても連帯保証人から外れるということはできません。

[voice icon=”/wp-content/uploads/concierge_tag.png” name=”concierge” type=”l”]婚姻関係と金融機関と結んだ連帯保証人の契約というのは別なので、離婚をして住宅から出ていったとしても、連帯保証人の義務は解除されません。[/voice] [aside type=”boader”] 連帯保証人の義務を解除するためには、

この2つの手段があります。[/aside]

別の連帯保証人や担保を用意する

これは、合意解除というものですが、債権者と話し合いをして、連帯保証人をやめさせてもらうという方法です。ただ、やめたいです、といっても債権者は念のために連帯保証人をつけているのであり、単にお願いをするだけでは連帯保証人をやめさせてはくれません。

[aside type=”boader”] そのため、

このような方法があります。[/aside]
ただし、債権者との話し合いでの決定となりますので、代わりに連帯保証人や追加担保を用意したとしても100%、連帯保証人をやめることができるわけではありません。

元配偶者に住宅ローンの借り換えをしてもらう

合意解除が難しい場合、元配偶者に住宅ローンの組み換えをしてもらう方法があります。

[aside type=”boader”] 新しいローンに借り換えをしてもらい、その際に、別の連帯保証人をつけてもらう、もしくは連帯保証人なしのローンにしてもらうという方法です。[/aside]

ただし、これも確実に実行できるわけではありません。元配偶者の収入やその他の条件が原因でローンの借り換えをすることができない場合があります。また、すでに住宅ローンを滞納している場合はローンの借り換えをすることはほぼ不可能です。

保証人に迷惑をかけない債務整理とは?

自己破産も債務整理の1つの種類なのですが、自己破産を利用してしまうと、保証人や連帯保証人にすぐに借金の請求が行くことがあります。しかも、期限の利益を喪失していますので、保証人や連帯保証人は全額一括返済をしなければなりません。

[aside type=”boader”] もし、保証人や連帯保証人に迷惑をかけたくないというのであれば、債務整理の1つの方法である任意整理というものがあります。任意整理というのは、特定の債権者と交渉をすることで、将来的に発生する利息をカットしたり、返済期間をリスケジュールしたりすることで、月々の支払いを安く抑えるというものです。[/aside]

任意整理のメリットは、全ての債権者を対象にするわけではないという点です。保証人や連帯保証人がついていない借金の債権者とのみ話し合いをして、利息のカットやリスケジュールをするというわけです。

自己破産などの債務整理はすべての債権者を平等に扱うという考えから特定の債権者の借金を整理するということはできません。しかし、任意整理の場合は、特定の債権者と任意で交渉をして借金整理をすることができます。

保証人がついていない借金を任意整理すれば、保証人や連帯保証人には迷惑をかけることなく、借金を返済することが可能です。

[aside type=”boader”] また、保証人には迷惑をかけたくはないが、保証人や連帯保証人がついた借金を任意整理したい場合は、保証人と連名で任意整理をするという方法があります。この方法を利用することで、任意整理をしても保証人に借金の請求が行くことがありません。[/aside]

しかし、任意整理での借金整理が困難という場合は、保証人や連帯保証人と一緒に自己破産をするという方法が現実的です。

まとめ

金銭貸借契約において、保証人とは連帯保証人のことを指します。しかし、一般的に保証人と連帯保証人は異なるものであり、保証人は連帯保証人とは異なり3つの権利があります。

[aside type=”boader”] 3つの権利とは、

これらの権利があります。そして、連帯保証人はこれらの権利を持っていません。[/aside]

催告の抗弁権とは、まず主債務者へ債権の取り立てに行ってくれと抗弁する権利です。そして、検索の抗弁権は、主債務者に差押えすることのできる財産があるのであれば、まずはそれを差押えてくれという権利です。

分別の利益は、複数人の保証人がいれば保証人の均等に借金を分けて支払いの義務を持つというものです。1000万円の借金があり5人の保証人がいれば1人200万円の支払いの義務をおうというものです。

自己破産をした場合、連帯保証人には借金の一括返済が求められます。これは、自己破産をすると同時に期限の利益を喪失してしまうことが原因です。その結果、連帯保証人も自己破産をしてしまう負の連鎖が起きることになります。

もし、連帯保証人に迷惑をかけたくないのであれば、任意整理という債務整理の方法があります。

[voice icon=”/wp-content/uploads/concierge_tag.png” name=”concierge” type=”l”]ただ、どちらにせよ連帯保証人にならないというのが、現実的な防衛策といえます。[/voice]
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