自己破産プロ

住宅ローン破産が原因の自己破産は、任意場売却後の自己破産がベスト!

住宅ローン破たんが原因で自己破産を考える方が増加傾向なのが現状です。国家的な詐欺とまでいわれた「ゆとりローン」などが原因で自己破産に追い込まれている方も多くいらっしゃいます。

住宅ローン破たんをした場合、とることのできる手段というのは限られてきます。ですが、安易に自己破産は選択すべきではありません。

自己破産は最後の手段であり、最初から検討するべきものではないのです。また、最初から自己破産を検討してしまっては、連帯保証人などに多大な迷惑を与え、その影響で連帯保証人を道連れに自己破産をすることになる悪循環がうまれます。

では、住宅ローン破たんをしたときにとるべき方法、そして自己破産をするべきタイミングについて今回は紹介をしていきます。

ゆとりローンとは?

すでに廃止されてはいますが、夢のマイホームローンとして脚光を浴びたのが、ゆとりローンです。このゆとりローンも現在のローン破たんの原因となっていますので、軽く触れておきます。

ゆとりローンとは、1993年に住宅金融公庫(現・住宅金融支援機構)が商品化した住宅ローンで、フラット35のような当時では画期的なローンプランでした。

ローンを組んだ最初の5年間は超低金利で毎月の返済額が少なくてすむので、誰でも頑張れば家が持てるとして、若い世代や低所得者層など多くの人がこのゆとりローンを利用することになります。

しかしながら、最初の5年間は月々の支払額が安いのですが、元本はほとんど減りません。その後の返済額がどんどん大きくなる仕組みになる落とし穴がゆとりローンにはありました。

当初5年間は返済期間を50年とした金利と返済額を設定します。そして、6年目からは金利は同じですが通常の返済期間で返済額を見直し、11年目からは段階金利なので、金利自体が上がる仕組みになっています。

[aside type=”boader”] つまり、当初5年間で支払っていた金額が6年目以降は大幅に増え、11年目からローン完済まではさらに増額されます。そのため、11年目以降の返済金額は当初5年間の月々の返済金額の倍近くになります。[/aside]

ゆとりローンの背景には、当時の金利が約7%であり、バブル崩壊直後ではあったものの、現在に至るまでの長期間の不況は予測することができていなかった点があります。ゆとりローンの成立条件とは、そもそも、日本企業の一般的な傾向であった年功序列に終身雇用がきちんと機能することです。

定年まで給料に困ることなく、毎年確実に給料やボーナスが上がること、そして、購入物件が将来にも価値を持つことになります。

そもそもゆとりローンが成立する条件が破たんしているにも関わらず、住宅金融公庫はゆとりローンが成立する条件を顧客に知らせず契約者を増やしました。

結果、ゆとりローンは国家的な詐欺といわれ2000年にようやく廃止されています。しかし、20年、30年という長期ローンであるため、廃止以降も高額な金利でローンを支払続けなければなりません。

そのため、ゆとりローンの利用者の多くが、ローン破たんが原因による自己破産に追い込まれるという状況を作ってしまいました。

住宅ローンが払えない人は増えている

ゆとりローンを例として前述しましたが、以前の住宅ローン破たん原因としてはギャンブルなどに手を出すなど、債務者の過度な出費が原因であるケースが珍しくありませんでした。

しかし、現在はまじめに働いていて一定額の収入があったとしても住宅ローン破たんをする事例というのが圧倒的に増えています。

高度経済成長期は給料が右肩上がりで増えており、今日よりも明日は必ず良くなるという神話が信じられていました。住宅ローンの返済ができなくなり、住宅ローンが原因で自己破産をしなければならないということなど考えられなかったのです。

しかしながら、高度経済成長期は終了し、バブルも崩壊、とどめに2008年のリーマンショックが重なりました。以降、終わりの見えない不況の中で企業の業績悪化によるリストラや賃金のカットにて収入が激減、一度職を失ってしまうと再就職が難しい、転職に成功したとしても以前より収入が激減するケースも多くなり、住宅ローンの支払いが真面目に仕事をしていても住宅ローン破たんをするケースが少なくありません。

[aside type=”boader”] つまり、住宅ローン破たんというのは、まじめに働いているから関係ない、浪費家の自業自得とは言い切れないというのが現状なのです。ということで、住宅ローンの返済ができなくなった場合どのような対応をするかということまで考えて住宅ローンを組まなければなりません。[/aside]

自己破産を避けるための任意整理・民事再生(個人再生)・任意売却

住宅ローン破たんが原因で自己破産をするケースが増えています。

[aside type=”boader”]自己破産は最後の手段です。[/aside]

たとえば、収入があり住宅ローンの返済が可能である、一時的に収入が減ったものの将来的に回復する見込みがある場合は、債権者である金融機関と交渉をすることでリスケジュールや元金据置返済を認めてもらえるケースもあります。

また、住宅ローンの借り換えという手段も有効でしょう。

ただし、これらの手段は住宅ローンを滞納していないことが前提です。住宅ローンを滞納している場合、とることのできる手段は、「任意売却」「民事再生(個人再生)」の2つです。

[aside type=”boader”] 任意売却、民事再生(個人再生)の利用についても、住宅ローンの返済額は変わりませんので、住宅ローンの支払い能力を喪失している場合、任意売却が有効な手段となります。[/aside]

任意整理

任意整理とは裁判所を介さずにおこなう私的な和解交渉です。

任意整理では、特定の債権者を対象にして交渉をおこない将来利息のカット、遅延損害金の免除、そしてリスケジュールの交渉をおこないます。

弁護士に依頼をすることで任意整理をおこなうことができます。ただし、任意整理をする場合、住宅ローン以外の借金がある場合に利用することのできる手段です。

[aside type=”boader”] 住宅ローン以外の借金があり月々の支払額が減ることで住宅ローンの支払いが可能になるのであれば、任意整理をする意味があります。[/aside]

民事再生(個人再生)とは

民事再生(個人再生)は、自己破産より効果は薄いのですが、原則として借金を5分の1まで減額することができます。そして、民事再生(個人再生)の特徴として、住宅ローン特別条項があります。

[aside type=”boader”] 住宅ローン特別条項は、住宅ローンを守り、その他の借金の減額ができます。つまり、住宅ローン以外の借金のせいで住宅ローンの返済が困難な場合、民事再生(個人再生)を利用することで毎月の返済額が減り経済的な圧迫が少なくなるわけです。[/aside]

住宅ローンは減額されませんので完済しなければならないのですが、住宅を守りながら住宅ローン以外の債務を整理したいのであれば、民事再生(個人再生)の利用は有効な手段であるといえます。

任意売却とは?

任意売却とは、専門の不動産業者に依頼をすることでおこなうことのできる住宅売却の手段です。

[aside] 通常、住宅ローンが残っている住宅に抵当権というものがついているため、第三者に売却することはできません。仮に売却をすることができたとしても、二束三文の価格になります。

なぜなら、住宅を売却するときは抵当権をはじめとした住宅にかかわる権利をすべて抹消することが大前提となります。[/aside]

任意売却では、専門の不動産業者が債権者と交渉をして抵当権を抹消してもらい、第三者へ売却をするのです。

任意売却のメリットはさまざまありますが、競売(けいばい)と比べて市場価格に近い価格で住宅を売却することができます。

[aside type=”boader”] 競売というのは、債権者が裁判所に申立ておこなう住宅売却の1つですが、任意売却と比較をするとデメリットしかなく、住宅の売却価格も市場価格の6~7割程度になってしまいます。[/aside]

任意売却や競売をおこない、住宅を売却して売却益を住宅ローン返済に充てるわけです。住宅ローン返済に充てるわけですから、市場価格に近い価格で売却することのできる任意売却で売却してしまった方が、残債務の額が少なくなります。

[voice icon=”/wp-content/uploads/concierge_tag.png” name=”concierge” type=”l”]マイホームを失ってしまいますが、住宅ローンの残債務を大幅に減額することができる手段でしょう。[/voice]

任意売却で住宅を処分するのであれば自己破産でいいのでは?

任意売却で住宅を処分するのであれば、自己破産を選択してもかわりがないのでは? と思うかもしれません。

確かに結局のところ住宅を売却してしまうのですから任意売却をするよりも、自己破産をした方が手っ取り早くていいのではないだろうかと考えるのは当然のことです。

しかし、自己破産を視野に入れている場合、任意売却をするとメリットがあります。

金銭面でのメリット

同時廃止事件になる可能性が高くなる

自己破産をする場合、財産の有無で自己破産の手続きが変わります。

つまり、同時廃止事件と管財事件の2つの種類が自己破産にあるのですが、任意売却をせずに自己破産をしてしまうと、管財事件になってしまいます。

[aside type=”boader”] 管財事件は、手続きに時間がかかり、裁判所へ納める予納金の額が最低でも50万円がかかります。別途、弁護士へ支払う費用も必要があります。住宅という財産を持っている場合、原則として管財事件になります。経済的に困窮している方にとって50万円という現金を用意するのは困難です。[/aside]

そのため、任意売却にて事前に住宅を売却してしまい、資産がない状態にしてから自己破産をすると同時廃止事件になりますので、1万円~3万円程度の費用で自己破産の手続きを進めることができます。

管財事件の中には、少額管財事件というものがあります。少額管財事件の場合、最低20万円から自己破産をすることができます。住宅を持っていると少額管財事件になるのが難しい場合があります。

引越し代など、当面の資金が手に入る可能性がある

任意売却をせずに自己破産をした場合、競売になる可能性があります。そうなってしまいますと、引越し代などがでません。住宅金融支援機構で住宅ローンを融資してもらった場合、自己破産をするのであれば、引越し費用10万円~20万円ほど捻出される可能性があります。

売却手数料の持ち出し負担はありません

任意売却の場合、不動産の売却にかかる手数料は売却代金の中から支払われますので、持ち出し負担が必要になることはありません。

時間的なメリット

自己破産手続きが終了するまでの時間が短い

前述したとおり、自己破産の手続きには同時廃止事件と管財事件の2つの手続きがあります。

同時廃止事件の場合、2ヶ月~6ヶ月程度の時間で自己破産をすることができます。どんなに時間がかかったとしても半年で自己破産の手続きが完了して借金がなくなります。

しかし、管財事件の場合、6ヶ月~1年程度の期間がかかります。

自己破産の手続き中、債務者は破産者となります。破産者はさまざまな制限がくわえられます。

[aside type=”boader”] つまり、住宅を任意売却してしまった方が破産者である期間の短い同時廃止事件になります。破産者である期間は短ければ短いほどメリットはあります。[/aside]

引越しの時期を相談することができる

[aside type=”boader”] 任意売却は一般の不動産売却と代わりがありませんので、買主と相談をすることで住宅の引き渡し時期をある程度調整することができます。
[/aside] 自己破産をして競売になってしまった場合、裁判所からの引き渡し命令にて即時退去を求められるケースもあります。

保証人への影響が少ない

[aside type=”warning”]任意売却をすると保証人への影響が少なくて済みます。自己破産をして免責を受ければ、破産した本人はすべての借入の返済を免れることができますが、代わりに保証人が債務を返済しなければなりません。また、保証人には一括返済の請求がなされることになります。そのため、連帯保証人の方も支払不能状態になることがほとんどです。[/aside]

結果として保証人として、保証人も自己破産をしなければならないというケースも出てきます。

任意売却をした場合でも100%連帯保証人への影響がなくなるということはないのですが、事前に自己破産をするよりも影響は少なくて済み、負担がかからないでしょう。

住宅があるのなら任意売却をしてから自己破産がベター

[aside type=”boader”] 住宅ローン破たんをした場合、安易に自己破産をするのではなく、まずは任意売却をしてから自己破産を検討することをおすすめします。[/aside]

住宅ローン破たんをした場合、まずは金融機関との交渉をすることが真っ先に重要になります。住宅ローンの支払いが厳しくなった段階で交渉するのがベストタイミングです。住宅ローンを滞納してからでは、金融機関は交渉のテーブルについてくれないことがあります。相談をしないまま、住宅ローンの支払いが遅れたり、滞納が続いたりする前に相談することが重要になります。

相談をすることで必ず有利な状態になるとは限りませんが、リスケジュールに応じてもらえる可能性があります。リスケジュールに応じてもらえれば、総返済額は増えますが毎月の返済額は減額されますので、金融機関へ相談をするといいでしょう。

住宅ローン以外の借金が高額な場合、債務整理の方法である「任意整理」と「民事再生(個人再生)」の利用があります。

任意整理は裁判所を利用しない私的な和解交渉になります。和解交渉をすることにより、リスケジュール、将来利息のカット、遅延損害金の免除などをすることができます。

そして、民事再生(個人再生)は、住宅ローン特別条項を利用することで住宅ローンを守りながら、その他の借金を原則5分の1まで減額が可能です。住宅ローン以外の借金が多い場合は任意整理と民事再生(個人再生)の債務整理は有効な手段です。

最後に任意売却です。任意売却をすることで住宅を売却して借金を減額させます。

住宅を持っている場合、これらすべての手続きを終了させてから自己破産をするのがベターな自己破産をするタイミングといえるでしょう。

[aside type=”boader”] はじめから自己破産を選択してしまいますと、自己破産の手続きで時間と費用がかかる管財事件になってしまいます。そのため、自己破産は最後の手続きとしておこなうのが、損することなく自己破産の手続きをすすめることができるでしょう。[/aside]

まとめ

ゆとりローンをはじめとして、住宅ローン破たんは他人事ではありません。真面目に働いていても住宅ローン破たんをする可能性があります。

住宅ローンが払えなくなった場合、はじめから自己破産をすると自己破産の手続きである管財事件になってしまいます。管財事件の場合、裁判所へ50万円の予納金を納めない限り、自己破産の手続きをすることができません。

住宅ローン破たんしたら、滞納をする前に金融機関などの債権者と相談をして住宅ローンのリスケジュールをするのがいいでしょう。また、住宅ローン以外に借金がある場合、債務整理である任意整理や民事再生(個人再生)を利用して、その他の借金を減額する方法があります。

最後に、任意売却です。任意売却は住宅を売却し、売却益で住宅ローンの返済をおこないます。

任意売却をして住宅を処分してから自己破産をすると、財産がありませんので、自己破産の手続きである同時廃止事件が適用される可能性が高くなり、1万円~3万円程度の費用と2ヶ月~6ヶ月という短期間で自己破産を済ませることが可能です。

モバイルバージョンを終了